岸田総理の派閥解消は麻生・茂木派に削がれた権力を「獲り返す」ため
麻生氏・茂木氏への反攻は「支えてくれなかった」から ~権力が削がれたから獲り返しにいった
中川)「システムの問題ではない」と岸田さんはわかっていると思います。これをつくったとしても、人心がどうか、派閥のトップがどうかが重要であって、システムではないのです。そういう政治力学をぶち壊すためには、政治闘争として、歯向かって来る者をなぎ倒すしかない。 飯田)なぎ倒す相手は、いままで支えてきたとされる麻生氏や茂木氏ですよね。 中川)結局、「支えてくれなかったではないか」という思いがあるのでしょうね。 飯田)表向きは支えているように見えたけれど……ということですか? 中川)そちらに権力が移っていたのでしょう。総裁は自分だけれど、おそらく「権力を削がれた」という思いがある。システム論とは別に「誰がどう力関係をつけていたのか」を見るとわかりやすいです。単純に「岸田さんの権力が削がれたので取り返しにいった」という構造です。
破壊した自民党をどう創造していくのか
飯田)岸田さんが総理になったとき、「何をしたいか」と聞かれて「人事をやりたい」と言っていましたが、「その人事すら思うようにできないではないか」ということですか? 中川)人事を落とせば、他の政策も通らなくなります。自民党全体のガバナンスで言うと、ここが流動化したので、今後どうつくり上げていくのか。よく「スクラップ・アンド・ビルド」と言われますが、破壊と創造はセットです。とりあえず破壊はできたけれど、どう創造していくかは未知数になった印象です。若手議員は今後、大変だと思います。 飯田)この先、政策のつくり方も変わってくるのでしょうか? 表向きは部会で揉むようなシステム論があるとは言え、「誰がその原案をつくるのか」という部分は変わるかも知れない。 中川)そうですね。政局と政策について、綺麗な議論では「政策は大事だ」と言われますが、政局が安定してこその政策ですので、安定しなければ何も決まりません。よく「ねじれがあると決まらない」と言われるのと一緒で、根幹になる人事や権限・権力・権威がこれだけ混乱していると、政策はほぼ決まらないですよね。 飯田)霞が関サイドは様子を見るしかないのでしょうか? 中川)それしかないですね。明らかに。 飯田)下手に変なところで肩を持つように見られたら、あとからどうなるかわからないですよね。