松下洸平"牧野”の魅力がじわじわと明らかに…『放課後カルテ』が”教材”としても最適なワケ。第2話考察
松下洸平主演のドラマ『放課後カルテ』(日本テレビ系)が放送中。本作は、小学校に赴任した口も態度も悪い小児科医が、類稀なる観察眼で児童の異変に気付き、未来へ向かう子どもたちの背中を押す保険室ヒューマンコメディ。今回は第2話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】松下洸平主演ドラマ『放課後カルテ』劇中カット一覧
人の命は脆い…。 残酷とも言える現実を突きつける牧野(松下洸平)
人は意外と脆い――。 それはわりと大人になってから知ったことだった。人はあっけなく死ぬし、そんなことでという事故で大きな障害が残ることもある。ある程度歳を重ねると、そんな悲しい現実は嫌でも目に入ってくる。 翻って『放課後カルテ』(日本テレビ系)では、小児科医・牧野(松下洸平)が子供たちに嘘のない現実を突きつけている。 19日に放送された第2話では小学4年生の勇吾(湯田幸希)が突然、気胸で倒れてしまう。子供同士の度胸試しとなっていた、木からジャンプして降りた際に負ったケガが原因だった。そこには男児特有の「社会」があり、「痛い」や「怖い」などを言わないことがかっこいいとされる暗黙のルールが見え隠れする。 しかし、死んでしまってはそんな周りからの評価は何の意味も持たない。大したことないと思っていた度胸試しでも深刻なケガとなりうることを牧野は、朝陽(渋谷いる太)に入院している同年代の子供たちを見せることでしっかりと教えていた。牧野がいなければ知るよしもなかった現実は小学4年生にとってはあまりに残酷だが、大人が何度も言い聞かせる必要のある事実でもある。 篠谷(森川葵)は牧野に「子供には子供の世界があって、それがすべてなこともあるんです」と説明した。 もちろん、学校の大人は子供たち特有の社会を理解する必要はあるし、解決する問題もあるだろう。だが、それをあまりに重視して命を軽んじてしまっては意味がない。子供たちに寄り添うとはなんだろうと改めて考えさせられる。
教材映像としての本ドラマの役割
命をテーマとした第2話でもうひとつのキーとなっていたのがAED(自動体外式除細動器)の存在。冒頭で牧野らが小学生に向けてAED講習を行っており、物語のラストに啓(岡本望来)は一人でAEDを使わなければならない場面に遭遇する。 そもそもAEDとは、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器だ。2004年からは一般市民でも利用できるようになり、病院だけではなく、駅や公共施設などにも設置されている。したがって、そこで働いた経験のある人なら一度はAED講習で扱ったことがあるだろう。 しかし、いざ倒れている人と対峙した時、実際に使うとなったら話は別だ。何からすればいいかわからないし、不安にもなる。ましてや小学生が1人でと考えれば、パニックになるのも当たり前だろう。 そうしたただのAED講習ではわからない現実の焦りや怖さを第2話では余すことなく表現していた。意識確認、人員確保、119番通報、そしてAEDの使用に至るまで特に――AEDを使っている場面に多くの時間が割かれていたことは偶然ではない。 実際にAEDを使ってみると、操作方法を音声でガイドしてくれるため、簡単に使用することができるのだが、ここまで丁寧にドラマとして扱うことで“教材映像”としても大きな意味を持つことだろう。