「公開を」「政策決定ゆがめる」 企業・団体献金禁止の行方見通せず
「政治とカネ」の問題をきっかけにした政治改革で、与野党は最大の焦点になっている企業・団体献金の禁止について3月末までに結論を出す。石破茂首相(自民党総裁)は憲法が定める「表現の自由」に抵触するなどと国会で答弁し、「禁止よりも公開」を主張。立憲民主党などは企業による献金が「政策決定をゆがめている」として全面禁止を求めているが、野党の間でも意見の隔たりがあり、協議の行方は見通せない。 【図解】衆院「裏金議員」の政治資金への姿勢 「3月末まで」との期限が決まったのは昨年12月16日。自民、立憲民主両党の国対委員長が会談し、使途公開が不要な「政策活動費」を全面的に廃止する一方、企業・団体献金の禁止については協議を継続することで合意した。政策活動費廃止などを盛り込んだ政治改革関連法は同月24日の参院本会議で可決、成立した。 自民、公明両党は企業・団体献金のあり方について有識者に意見を聞いた上で結論を出すべきだとの考えで一致している。ただ、公明は企業・団体献金に依存しておらず、斉藤鉄夫代表は「議論を見守っていきたい」と態度を保留する。 ◇立憲、国民民主は労働組合から献金 野党にも労働組合などからの献金がある。連合傘下の主要な労組や関連政治団体が、23年に自ら擁立・支援する国民民主党の参院議員に寄付した額は計1億6482万円で立憲議員の計7400万円を上回った。 国民民主は企業・団体献金について「禁止しても個人献金などの形で迂回(うかい)することもある」(古川元久代表代行)などとして存続を否定しない。一方、日本維新の会は「迂回の抜け穴は最大限まで塞ぐ」(岩谷良平幹事長)と禁止を求める構えだ。共産党、れいわ新選組なども禁止を主張している。【田中裕之】