障がいのある学生を対象にオープンカンパニー 多様な従業員が活躍できる環境を説明 オンラインで、大同生命保険が初の開催
中小企業の経営者、従業員向けに法人契約の定期保険販売などを手がける大同生命保険(本社・大阪市)は、障がいのある学生を対象にした「1 DAY オープンカンパニー」を8月22日、オンラインで実施した。同社によると、「障がい者雇用」枠ではなく、一般雇用としての総合職、システム担当を前提としたオープンカンパニーの開催は初めて。 入社後は、障がいへの合理的な配慮をしつつも、社内のキャリアアップ、給与体系などは、健常者の総合職と同じ待遇となるという。 9月10日には、障がいのある学生たちに大阪本社に来てもらい、社内見学のプログラムも加わった「リアル開催」を予定している。 ▽「こんな会社はどうだい?」 8月22日午後2時~5時まで、オンラインで開かれたオープンカンパニーには、障がいのある学生5人が参加した。内訳は、総合職希望が4人で、システム職希望は1人だった。 この日は、「こんな会社はどうだい?」という親しみやすいかけ声の下、四つのコーナーに沿って、同社の人事総務部の担当者が説明。「保険業界と大同生命」「大同生命のここが強い!」「大同生命の幅広い業務とキャリア(総合職・システム職)」「先輩社員との座談会」という流れで進められた。 「保険業界と大同生命」では、「保険」の機能は「日常生活で起こる“万が一”というさまざまなリスク(危険)に備える制度です」と解説した。生命保険については「大勢の人がお金を出し合い、お互いが助け合う『相互扶助』の精神で成り立っています」と話すと、オンラインでつながっている画面上の学生たちはうなずいていた。また、経営者になり切るゲームを通じて、「中小企業にはなぜ生命保険が必要なのか?」ということを実感していた。 次に担当者は、大同生命の挑戦の歴史や中小企業マーケットに特化し各種団体から全国の中小企業へ保障を届けている独自のビジネスモデル、保障だけでなく経営課題を解決するサービスとの一体提供といった特長や強みについて力強く発信していることなど、他の生命保険会社との違いを話した。また、多様な働き方やキャリア形成についての話の際には、「大切にしている価値観」や「なりたい姿」を考える時間を設け、就職活動をするにあたって大切な“自己との向き合い”の重要性を参加学生に伝えた。 最後のコーナーの「先輩社員座談会」は、同社の障がいがある2人の社員が登場し、障がいがありながらも、具体的な働くイメージや社風などを学生たちに感じ取ってもらうことを目指した。 先輩社員の説明後、参加した学生全員から質問が出た。「障がい者であることをカミングアウトすることで、気を使われてしまうのではないか」に対して、先輩社員からは「伝えるタイミングは人それぞれで難しいと思いますが、社内において周囲に伝えたことで気を使われたことはありません」と自身の体験を語った。 また「他の社員とはどのように交流しているのか」の質問には「ランチを一緒にしたり、仕事終わりに飲みに行ったりしています。在宅勤務で会えないときは、社内のチャットや電話などでこまめにやりとりしています」と笑顔で答えた。 ▽「特長を知ることができた」 オープンカンパニー実施後に行ったアンケートによると、「会社の特長を知ることができた」「ホワイトで自分の能力を生かせる企業」などとの回答があった。このほか、「保険の必要性を体感できる工夫があって面白かった」「他の生命保険会社との違いが分かりやすかった」という声もあったという。 大同生命は障がい者雇用の取り組みを強化し、2024年卒から障がいのある学生の総合職としての採用活動を開始。また、2026年卒からはオープンカンパニーの開催にも取り組むこととした。 同社の人事総務部大阪人事課・乘本典子係長は、今回のオープンカンパニーについて「学生にはあまりなじみのない生命保険業界のことを知ってもらうことや、入社後の自分の働く姿を想像してもらうこと、座談会などを通じ社風や人柄を感じてもらうことなどが、学生さんたちに伝わることを期待しています」と振り返った。 その上で乘本さんは「中小企業とともによりよい未来社会を創(つく)ることを目指し、実現するためには、多様な『人財』が必要です。障がいのある方を一くくりに考えるのではなく、障がいの特性にあわせて活躍いただける環境を整備し、自分らしく働き、その成長を社会に還元していくことで、中小企業の課題解決に貢献していきたい」と語った。