SNS投資詐欺急増 投資家、著名人かたる 被害者、60歳代、50歳代多く NISAで投資への関心高い働き手も狙われる
インターネット上で投資家や著名人になりすまし、SNSを通じて現金をだまし取る――。こうした手口による被害が愛知県内でも急拡大している。捜査関係者によると、今月には1人で数億円をだましとられる被害も発生。県警は、人々の投資熱の高まりに乗じた新たな詐欺とみており、注意を呼びかけている。(河野圭佑、戸田貴也) 【動くグラフ】全国のSNS型投資詐欺被害額は増加傾向
県警の中で、特殊詐欺の捜査や詐欺グループの摘発を担うのが組織犯罪特別捜査課(組特課)だ。いま同課が警戒を強めているのは、「SNS型投資詐欺」と呼ばれる犯罪。典型的なのが今年4月に起きた事例だ。 捜査関係者によると、県内のある男性は、経済アナリストの森永卓郎氏をかたる人物に投資を持ちかけられ、約3000万円をだまし取られた。きっかけは、森永氏の写真付きの広告をスマートフォンで見てサイトに接続したことだった。 その後、森永氏をかたる人物とLINE(ライン)で連絡を取るようになり、指示通りに個人名義の口座に現金を振り込んでしまったという。
これまでの主流は、電話で家族や警察官などを名乗って現金をだましとるなどの特殊詐欺だったが、被害規模は今年に入ってSNS型投資詐欺が逆転した。 県警捜査2課によると、昨年1~12月の被害件数は156件で被害額は計約23億円だった。今年の被害状況については、組特課が月ごとに公表しており、1~4月は255件で計約27億円と、件数、額ともに昨年1年間をすでに超えた。こうした県内の傾向は、警察庁が公表している全国の状況とも一致する。
警察庁が今年1~3月の全国の被害(1700件)を分析したところ、被害者の年代は60歳代(29%)と50歳代(26%)が多い。犯人側が名乗った職業は投資家(32%)が最多で、次に著名人(19%)と続く。被害者に接触した手段は、「バナーなどの広告」が最多の50%だった。 今年1月に新しいNISA(少額投資非課税制度)が始まり、県警は投資への関心が高まった働き手が狙われやすいとみる。県警生活安全総務課の中込光雄次長は「SNSだけでやりとりして、相手を信頼できる投資先と考えるのは危険だ」と警鐘を鳴らす。