国が推し進める「マイナ保険証」 デジタル化のメリットに潜む災害時の懸念
12月2日以降、これまでの健康保険証は新規発行されなくなります。国が進めるのが「マイナ保険証」ですが、使い勝手をめぐっては困惑の声もあがっています。 【動画で見る】マイナ保険証って実際、どうなの? 名古屋のクリニックの受付で、端の方にぽつんと置かれている「マイナ保険証」の読み取り機。1日約40人の患者のうち、使うのは2人ほどだということです。この日も取材した1時間で利用したのは0人でした。 「(これまでの)保険証がいいかなと思います。何かあるとやっぱり不安があるから」(70代患者) 実際にトラブルも…。 「名前の一部が黒丸になってしまう事例が出ています。難しい漢字、“渡邉”とか(はしごたかの)“高橋”とか、そういうもので黒丸になってしまう」(あさみクリニック 浅海嘉夫 院長) 「マイナ保険証」は、健康保険証として利用登録されたマイナンバーカードのことです。国は「マイナ保険証」を基本とする仕組みへの移行を進めていて、 ・データに基づく、より良い医療が受けられる ・手続きなしで高額医療費の限度額を超える支払いが免除される ・確定申告時の医療費控除申請手続きが便利になる といったメリットを強調しています。 9月末時点でマイナ保険証の手続きを済ませた人は7600万人あまり。これまで使っていた保険証は12月2日以降は新規に発行されなくなり、手元にあるものも利用できるのは最長1年です。国はマイナ保険証のさらなる普及を目指しますが…。 「(これまでの)保険証を残していただくことが一番の解決策じゃないかなと思います。機械ですからね、たまに立ち上がらないことがある」(浅海院長)
あなたの名前が“●”に?
業者に連絡し、読み取り機械は直ったといいますが、トラブルはほかにも。他の病院で処方された薬の内容を確認できず、エラーが出たときもあります。 「なるべくいろんな情報をいただいた上で間違えのない治療や処方をしていきたいのですが、それが足りないのは本当に困ります」(浅海院長) さらに、名前が難しい漢字の場合、黒丸で表示されてしまい、打ち換えないといけない作業も発生しているということです。患者の多くは高齢者で、保険証が廃止された後の受付業務の負担も懸念されています。 「手続きとかが面倒くさいなというのがあって、まだ作っていないのが現状です。やらなきゃいけないと思っているんですけど」(40代患者) 「年齢が高くなると暗証番号を忘れる。マイナンバーカードを持って歩く習慣がない」(70代患者)