待ってたゼ! スズキ「アルトワークス」、5代目が15年ぶりに151万円~復活!【今日は何の日?12月24日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日12月24日は、スズキが誇る人気の軽ホットハッチ「アルトワークス」の5代目が誕生した日だ。2000年以降アルトワークスは設定されなかったが、ファンの要望に応えるかたちで8代目「アルト」デビュー翌年に5代目アルトワークスがデビューしたのだ。 TEXT:竹村 純(JUN TAKEMURA)/PHOTO:三栄・軽自動車のすべて スズキ・5代目アルトワークスをもっと見る ■待望の5代目アルトワークスが登場 2015(平成27)年12月24日、スズキの5代目「アルトワークス」がデビューした。2014年にモデルチェンジした8代目「アルト」のスポーツモデルであり、4代目アルトワークスが2000年に生産を終えてから実に15年ぶりの待望の軽ホットハッチの復活である。 軽自動車高性能時代の象徴アルトワークス誕生 初代アルトは、ボンネットバンと呼ばれる乗用車スタイルの商用車として1979年に誕生した。当時は、軽自動車にも高性能が求められるようになり、究極の高性能モデルとして1987年に登場したのが「アルトワークス」だ。 軽自動車初のツインカムターボとなる550cc直3 DOHCインタークーラーターボエンジンを搭載。加えてEPI(燃料噴射)やESA(電子進角)、水冷オイルクーラーなど、当時の最新技術を盛り込んだ高性能エンジンは、最高出力64ps/最大トルク7.3kgmを発生、レッドゾーンはなんと9500rpm以上だった。 あまりの高出力ぶりに、この64psが軽出力規制のきっかけになり、現在でも軽自動車のメーカーによる自主規制値となっている。出力規制は、当時クルマの高性能化とともに交通事故が急増したため、政府が自動車メーカーに自主的に出力規制を要求したことで始まったメーカーによる自主的な規制である。 アルトワークスは、FFの「RS-X」とフルタイム4WDの「RS-R」が用意され、「RS-X」では0-100km/hの加速が11.8秒と1.5Lクラスに匹敵する速さを誇った。特に、13インチ65タイヤ、大型フォグランプ、フルエアロチューンの4WD仕様「RS-R」は若者の間で大人気となり、アルトワークスはピークで年間8.5万台超の販売を記録した。 進化し続けたアルトワークスだが、4代目で一旦生産中断 その後もアルトワークスは、進化しながら4代目まで、軽ホットハッチの代表として多くのファンを魅了した。 ・2代目(1988年~) 1989年の消費税導入によって物品税が廃止され、ボンネットバンのメリットが縮小したため、アルトワークスも商用車から乗用車に変更。また1990年に、規格変更に対応して排気量を550ccから660ccに拡大することでパワーアップされた。 ・3代目(1994年~) 新開発のオールアルミ製直3 DOHCターボエンジンと、シンプルなSOHCターボエンジンの2種を設定。モータースポーツでは他を寄せつけない圧倒的な強さを発揮した。 ・4代目(1998年~) 規格変更で一回りスケールアップして登場。VVT(可変バルブ機構)を採用したエンジンを設定したが、大きくなったボディが重くて走りはやや期待外れだった。1990年代の市場は、トールワゴンが主流になり、またスズキが国内モータ-スポーツから撤退することを決めたため、2000年にアルトワークスは4代目でいったん市場から撤退した。 ついにアルトワークス待望の復活 スズキは、2015年3月に、アルトワークスでなく「アルトターボRS」を投入。アルトターボRSも高性能なホットハッチではあったが、アルトワークスに較べるとややソフトなチューニングが施されていた。これを受けて、ユーザーからはより走りを追求したアルトワークスの復活を望む声が多数寄せられたことから、スズキは急遽同年12月のこの日に5代目アルトワークスを投入した。 アルト ワークスは、テールゲートに専用エンブレムを、ボディサイドには専用デカールを施すなどで差別化を図った。インテリアには、ホールド性に優れたレカロシートに加え、レッドステッチとディンプル加工を施した本革巻きステアリングホイール、ステンレス製ペダルプレートなどが装備された。 エンジンは、ターボRSに搭載された660cc直3 DOHCターボをベースに改良。最高出力は64psとターボRSと同じだが、最大トルクを10.0kgm→10.2kgmに向上、さらに加速時のレスポンスを向上させて、トランスミッションについても専用チューニングされた5速MTと5速AGS(自動MT)が用意された。 サスペンションは、フロント、リアともに専用設計のKYB製ダンパーを採用、ロール初期の減衰力をターボRSの約2倍に強化された。 車両価格は、5速MTと5速ASGは同額でFF仕様が150.984万円、4WD仕様が161.784万円に設定された。 ・・・・・・・・・ 2021年12月にアルトは9代目(現行)へとモデルチェンジするとともに、5代目アルトワークスの生産を終了。さらに、現行アルトは全車がCVTとなり、MTモデルの設定やターボ車の設定がなく、この世代のアルトワークスの登場は今のところ期待薄のようだ。またファンの要望に応えて復活を望むところである。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純