「ARMY TWILL(アーミーツイル)」ミリタリーウエアの新しい解釈
1940年代アメリカで生まれた「ARMY TWILL(アーミーツイル)」。ミリタリーウエアをファッションとして展開した先駆け的な存在だったと考えられる。そして80年ほどの時を経た2020年、新たなコンセプトを持ってスタートを切った。今回はデザイナーの多田周平さんに現在のARMY TWILLについてお話を伺った。
ミリタリーファッションのパイオニア的な存在
「軍から民間に放出されたミリタリーウエアをファッションとして着るという文化は、1940年代にはすでにあったと思うのですが、最初からミリタリーウエアをファッションとして解釈し、ブランドとしてやっていたというのは、時代を考えるとARMY TWILLはかなり早い感覚を持っていたのではないかと思います。 そもそもブランド名のARMY TWILLというのも実は生地の名前で、有名デニムブランドなどでも“アーミーツイル”生地のアイテムが作られていたことからも、もしかしたら当時の流行の生地だったのかもしれません」
現在のデザインワーク
ここからは多田さんが手がける現在のARMY TWILLについてお話しいただこう。1940年代のアーカイブアイテムや資料が豊富に残っていない環境で、どのようにデザインをしているのだろうか。 「当時のARMY TWILLのデザイナーはミリタリーウエアを民間に向けてデザインをする際に、その時代に合ったデザインをしていたと思います。ですので僕も昔のものを忠実に復刻するというわけではなく、今の時代に合ったミリタリーウエアをどんなふうにデザインするかを考えて作業にあたっていくという感じです。 ミリタリーウエアは歴史的に名作といわれるものが多く、そのひとつをデザインのメインソースにしながらタウンユースに置き換えて構築しています。シーズンのコレクションのデザインをするにあたっては明確な順番などがあるわけではなく、生地からインスピレーションが浮かぶときもあれば、『このミリタリーウエアをどう再構築するか』というアイテムから入る場合もあり、総合的に考えながら徐々にラインナップが決まり1つのシーズンにまとめていくという感じで取り組んでいます」