630PS!4438万円のマセラッティMC20が搭載するF1由来「ネットゥーノ」エンジンが奏でる官能的なサウンドとは?
ネットゥーノは力強く官能的なサウンドを奏でる
コースにはウエット部分が残っていたため、ESC(横滑り防止装置)の介入頻度が低下するコルセ(イタリア語で「レース」の意)のドライブモードは使用が禁止され、デフォルトのGTとスポーツモードのみの使用が強く推奨された。 グラントゥーリズモに乗って先導を務めるグレカーレ(全高1660mm)の後ろを走っていると、目線の低さを意識する。グラントゥーリズモ(GT)は本来、長距離ドライブに適したパフォーマンスとラグジュアリーなムードを兼ね備えた車両を意味するネーミングだ。攻めていないせいもあるだろうが、サーキットを走っているときでさえ優雅なムードを失うことはない。 ムードが一変するのは、ドライブモードを「スポーツ」に切り換えた後だ。アクティブエグゾーストバルブが開いて勇ましいサウンドが響く効果は大きく、気分が高揚する。この官能的なサウンドを手に入れるだけでも、グラントゥーリズモを手に入れる価値はあるとさえ感じた。クルマの動きはあくまでなめらかで、流れるようにコーナーをクリアしていく。ペースを上げても、本来の意味でのグラントゥーリズモらしさを失うことはない。 MC20チェロに乗り換えると、先導するグレカーレは見上げるようだ。スペック表を確認してみたら、グラントゥーリズモの全高が1410mmなのに対し、MC20チェロは1215mmしかない。約200mmも全高が違えば景色が違って当然だ。 グラントゥーリズモと同じネットゥーノを積んでいるはずなのに、MC20で味わうそれは、まるで印象が異なる。走り出した途端、思わず「おぉぉ」と感嘆の声を漏らしていた。キャビンの後ろにあるエンジンが奏でるメカノイズがダイレクトに耳に飛び込んでくるため、ネットゥーノの存在がより濃密に感じられる。アクセルペダルの動きに即応してエンジンのサウンドと加速Gがシンクロして襲ってくるのが印象的で、これはタマラナイ。 「グラントゥーリズモいいなぁ」と思ったが、MC20チェロに乗ったら、もっと良かった。スポーツモードに切り換えると、とくにサウンドの面での刺激は倍増する。トルコン+遊星歯車を用いた自動変速機構のグラントゥーリズモに対して湿式多板クラッチのDCTという動力伝達系の違いもあり、MC20はよりスポーティな味わいだ。そういう演出もしているのだろうが、操舵に対する鼻先の動きも軽く、ミッドシップスポーツを操っている幸福感に満たされる。 グレカーレに乗り換えたら、グラントゥーリズモやMC20と同じペースで周回しているにもかかわらず、さっきは楽にクリアしていたコーナーがややチャレンジングなコーナーに感じられた。もちろん、2車に対して重心が高く、車両重量が160~280kg重い諸元のせいである。 といってヤワでは決してない。先導するグレカーレをグラントゥーリズモやMC20チェロで追いかけていたときは、「ずいぶんカッコイイ(安定した)姿勢でコーナーをクリアしていくなぁ」と惚れ惚れとした思いで眺めていた。スポーツモードに切り換えて鞭をくれたときのグレカーレの走りは、「おいおい、SUVがこんな走りしていいの?」と突っ込みを入れたくなるほどにスポーティだ。 グラントゥーリズモ、MC20、グレカーレに共通していたのは、応答性の高さである。低速コーナーからの立ち上がりでアクセルペダルを深く踏み込み、全開加速を試みた際、間髪入れずに背中を蹴飛ばすような強烈な加速態勢に入る。そしてその加速が息切れすることなく、官能的なサウンドを伴って長く続く。ネットゥーノは柔軟性が高く、力強くて、官能的なサウンドを奏でる。走りのキャラクターは違っても、そこは共通している。
世良耕太
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