家計のインフレ期待しっかり、1・5年後「上がる」が増加-日銀調査
(ブルームバーグ): 日本銀行が12日公表した「生活意識に関するアンケート調査」(3月調査)によると、1年後と5年後の物価が「上がる」と回答した人の割合が前回の昨年12月調査から増加し、家計のインフレ期待はしっかりした動きとなっている。
1年後と5年後に物価が「上がる」と回答した人の割合はそれぞれ83.3%、80.6%となり、前回調査の79.3%、76.5%から増加した。毎年の物価上昇率についても、中央値は1年後が前回調査から低下する一方、5年後は5.0%上昇と8期連続で過去最高水準にある。
日銀が1日に公表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、企業が想定する消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率が1年後2.4%、3年後2.2%、5年後2.1%といずれも前回の昨年12月調査から変わらず、2%超を維持した。日銀は17年ぶりの利上げを決めた3月の金融政策決定会合でインフレ期待について「緩やかに上昇している」との評価を示しており、今回の家計を含めて判断を裏付けた形だ。
景況感は「良くなった」が10.7%に増加し、「悪くなった」が46.8%に減少したため、景況感DIはマイナス36.1と3期ぶりに改善した。暮らし向きについても、「ゆとりが出てきた」が5.3%に増加する一方、「ゆとりがなくなってきた」が49.5%に減少した結果、暮らし向きDIはマイナス44.2に改善している。
収入が「増えた」から「減った」を差し引いた収入DIは現在がマイナス12.9、1年後がマイナス15.0と共に過去最高を更新。日銀情報サービス局では、この間の賃上げや調査期間中に大きく上昇した株価の動向、企業収益の改善などが景況感などに影響した可能性があるとしている。
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Sumio Ito