父はU-18で指導者、祖父は高校の総監督 “サッカー一家”だからこそ抱く夢「呼ばれるように」
サッカー一家に生まれたからこそ「お父さんの下で選手として」
壱岐の祖父である洋治氏は、東北学院高校サッカー部の総監督やベガルタ仙台の総監督も務めた実績があり、父の友輔氏も長らく仙台の育成に携わり、現在はアビスパ福岡でアカデミーのヘッドオブコーチングを務め、今季はU-18チームが6年ぶりのプレミアリーグ復帰を決めた。 そんなサッカー一家に生まれたからこそのプレッシャーもあるという壱岐だが、サッカー一家だからこそ持てる夢を描いている。 「お父さんは今年アビスパU-18がプレミアリーグ昇格を決めたんです。だから、自分も結果を残さなきゃという思いはありました。将来、(コーチングスタッフ入りした)お父さんの下で選手としてプレーして、一緒にベガルタ仙台のトップチームに入りたいという気持ちがあります。父さんだけが結果を残し続けても自分が追い付いていけないので、自分もステップアップして父さんに追い付いて、追い越せるように。そしていつか仙台のトップチームに呼んでもらえるようにアピールするしかないなと思っています」 将来の仙台での活躍を夢見る一方で、東北学院にも大きな恩義を感じている。仙台ユースに上がれるか、上がれないかの瀬戸際にいた壱岐は、進路が遅い時期まで決まらなかったという。それでもGK橋本脩礼の父でもある橋本監督は、息子と1歳違いで小学校3年生の時まで近所に住み、一緒にプレーしていた壱岐のことを、スポーツ推薦枠を1つ潰す覚悟で待ち続けていたという。結果、仙台ユースに上がれなかった壱岐は、所属クラブがなくなる危機を救われて東北学院でプレーすることとなった。 「自分で言うのも恥ずかしいですけど、本当にドラマチックだと思います。ここしかなかったところで全国大会出場を決められて、全国大会でも1勝できました。本当にチームとして掲げたベスト8という目標を脩礼さんと一緒に叶えたいと思います」 まだ2年生の壱岐には、来年も選手権を戦える可能性がある。だが、幼馴染でもあるGK橋本と、東北学院でプレーできるのは今大会が最後。高校最終学年の3年生にも負けない強い思いを胸に秘め、壱岐は31日の2回戦も戦う。
河合 拓 / Taku Kawai