ディスプレー大手「乃村工芸社」菊人形が原点 大阪万博が転機【経済トレンド】
商業施設や博物館、ホテルなどに加え、大規模な催しのプロデュースを手がけるディスプレー業の最大手。創業者の乃村泰資が1892年、出身地である現在の高松市で芝居の大道具の仕事を始めたのが会社の起源だ。(共同通信=出井隆裕記者) その後、乃村は当時の大衆娯楽で菊の花を細工して人形の衣装にする「菊人形」の世界に転身。歌舞伎の演目などを大がかりな舞台装置で再現する「段返し」という手法を得意とし、各地の興行で成功を収めた。さらに百貨店の催事開催にも進出し、最新の文化を絶えず事業に採り入れる契機となった。 戦後の転換点は1970年の大阪万博だ。テーマ館、日本館などの主要パビリオンを受注。本格的なエレクトロニクス技術を導入したほか、共同企業体(JV)方式による大型プロジェクトのノウハウも獲得した。 最近ではプロ野球日本ハムの新本拠地「北海道ボールパークFビレッジ」の複数エリアの企画・設計を担った。窓から球場のグラウンドを一望できる天然温泉やサウナを設けるなど斬新なアイデアが話題となった。