五輪オーバーエイジは必要か?(2) 2016年リオ・手倉森誠は「ハリル監督から『いいチョイス』と言われたが...」
【OAは五輪世代を輝かせる存在でなければ】 清武は3月のアジア2次予選、6月のキリンカップに招集されていた。スタメンで起用されることもある立場だったが、ハリルホジッチ監督からは「いいチョイスだ」との了承を得た。 「日本代表のコーチとして清武と接していて、所属するハノーファーのOKさえ取れればいけるんじゃないか、という感触を得ていたんです。ところが、ハノーファーからセビージャへ移籍することになった。五輪はヨーロッパ各国リーグのプレシーズンと日程が重なるので、彼の招集は断念せざるを得なかった」 手倉森監督の構想は、さらに修正を迫られる。 最終予選で左サイドバック(SB)の主軸だった山中亮輔が、5月中旬のケガで長期離脱してしまう。さらには植田直通、岩波拓也とともにセンターバック(CB)として計算していた奈良竜樹も、ケガで招集が不可能となった。手倉森監督は左SBとして藤春廣輝、CBとして塩谷司を、オーバーエイジ枠で招集する。 「塩谷はセンターバックだけでなく、サイドバックでもプレーできる柔軟性を評価しました。18人のチーム編成では、複数ポジションに対応できる選手が必要なので。彼は2015年1月のアジアカップのメンバーに選ばれていたので、キャラクターもある程度はわかっていた。藤春も2015年7月の東アジアカップのメンバーなので、明るいキャラクターということはわかっていた」 オーバーエイジは大会直前からしか合流できない。短期間でチームに馴染むためには、人間性も選考基準に含まれる。 「五輪世代がオーバーエイジを受けいれると同時に、オーバーエイジ側にも受けていれてもらえるパーソナリティが必要です。塩谷、藤春、それに興梠はすばらしいパーソナリティの持ち主だった。彼ら3人も仲がよかったから、すぐに馴染んでくれた」 3人目に選んだFW興梠慎三は、自ら口説き落とした。戦術的にも重要な役割を託すこととなる。 「オーバーエイジはチーム力をアップさせる存在と見られがちだけど、足りない部分を埋めるところがありつつも、五輪世代を輝かせる存在でなければならない。周りの選手の能力を引き出してくれるオーバーエイジとして、興梠には何としても来てほしかった。 キャプテンだった遠藤航とは浦和レッズで一緒にやっているから、ふたりのつながりをピッチ上で活かせる。航から慎三へ縦パスが通ってそこから攻撃が展開される、といった絵が描けた」
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