外国人増えるスノーリゾート、応募殺到の移住物件争奪戦 「家が見つからない…」 バブル期の施設あっても手に入らない特別な事情
外国人の社長「物件探したことない」
温泉街を中心にホテルや旅館など宿泊施設13軒を展開する野沢ホスピタリティ社長のピーター・ダグラスさん(63)は「積極的に物件を探したことはない。(売り手から)相談を持ちかけられることがほとんど」と話す。 英国出身で、シンガポールでの投資会社勤務を経て移住した。観光資源が温泉街にコンパクトにまとまった村に着目し、10年に同社を設立。中古物件を現代風に改装し、季節スタッフら約80人が住む従業員寮も構える。今後、温泉を楽しみながら仕事をするテレワーク需要を見据えた事業展開もにらむが、不動産価格の高騰もあり、物件の確保は簡単ではないとみる。
「村の人とどうつながれるのか…」
旅館で働く笹岡香苗さん(31)は大阪市出身で、18年に村へ移住。夫と2人の子どもと温泉街にある築約30年の村営住宅で暮らす。将来の起業を見据え、一角を仕事場にできる一戸建て住宅を、子どもが学校に通いやすい温泉街に求めているが「見つからない」。村内で暮らし続けることに不安も感じ始めている。 温泉街で住宅を探す誉田さんも、「物件を売りたい村の人とつながるにはどうしたらいいのか」と悩む。若者や単身世帯向けの村民住宅(計18棟42戸)も埋まり、昨年、1室空きが出て抽選会に臨んだが、応募者が殺到する「争奪戦」となり落選した。 村の空き家バンクに登録された物件の多くは温泉街から離れた地区にある。村の担当者は「移住希望者は多いが、ニーズは温泉街に集中していて、応えられない状況に葛藤がある」と話す。(池田美陽)