自動車業界に衝撃! ホンダ・日産 提携検討を読み解く
「報道部畑中デスクの独り言」(第364回) ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、提携を検討するホンダ・日産について― 【写真全7枚】東京・品川の会見場には100人近くの報道陣が駆け付けた
2024年3月15日、自動車業界に衝撃が走りました。本田技研工業(以下ホンダ)と日産自動車という国内自動車大手2社が電動化・知能化の分野で提携検討を始める覚書を発表したのです。 「業界のトップランナーとして、自動車の新たな価値創造をリードする存在になり得るかという観点で、可能性を検討していく」 午後3時30分、東京・品川のホールスペースで開かれた両社トップの記者会見で、ホンダの三部敏宏社長は冒頭このように述べました。両社の提携検討が報じられたのは会見2日前の13日、テレビ東京のスクープによるものでした。その後、各社が報じることになりますが、この時点で検討は「初期段階にある」とされ、ホンダ側の意向も明らかにされていませんでした。実現するかは不透明で、伝える側も疑心暗鬼の状況でした。 鮎川義介が興した戦前の財閥、日産コンツェルンの傘下企業として発足した日産。戦後、本田宗一郎が従業員わずか20人で始めた、いまで言うところの「ベンチャー企業」の出自をもつホンダ。周知のとおり、両社は社風も歴史も全く違います。この2社がはたして手を組むのだろうか、あるとしても時間がかかるだろうと私も思っていました。それが急転直下の記者会見となったわけです。今回の発表はさまざまな見方ができそうです。
「現時点では両社で検討を開始するということで合意した段階だが、事実を正確にお伝えしたいという考えから、このような場をもたせていただいた」(ホンダ・三部社長) 記者会見は報道を受けて、急きょ設定されたことがうかがえます。提携の具体的な内容については「まだ決まっていない」(ホンダ・三部社長)、「あまり時間をかけずに、できるものから進めていきたい」(日産・内田誠社長)という発言にある通り、“生煮え感”のあるものでした。ただ、今後について両社が危機感を抱いていることは共有されたようです。 「急激な変化に対しては、従来の枠組みのなかではとても戦えない」(三部社長) 「これまでの業界の常識の手法に縛られていては到底太刀打ちできない」(内田社長) 提携検討の協議を始めたのは今年(2024年)1月中旬ごろだと言います。危機感は特に日産が顕著で、会見で内田社長からはかなり“前のめり”な発言が目立ちました。