自動車業界に衝撃! ホンダ・日産 提携検討を読み解く
「時代の変化はますます早くなり、多様な競争相手はますます攻勢を強めてくるだろう。悠長に構えている余裕はない。まごまごしていては、できるものもできなくなる」 「本当に両社にとってメリットにつながるのか、早く検証したいという思いから今回こういった場になった」 日産はEV=電気自動車の分野にいち早くシフトし、日本国内ではトップランナーの位置にいます。しかし、国内でEV販売が伸び悩む一方、海外ではアメリカのテスラ、中国のBYDといった新興メーカーが着実に成長し、世界販売の面でこれらの後塵を拝する状況となっています。 「中国を訪れた際に、現在起きている変化のスピードは、私たちの想定をはるかに上回っていることを肌で感じた。これまでのプロセスや手法から脱却し、機動性ある事業構造に転換していく必要がある」(昨年5月の決算発表会見) ゴーン体制のころ、稼ぎ頭だった中国市場はいつしかシェアが縮小し、さらにコロナ禍が追い打ちをかけました。内田社長の発言からは市場の変化を見誤ったことがうかがえます。
「コロナ禍が収束して全需が戻れば、事業が伸びていけると思った。ただ、もう全くスピード感が変わっている」 内田社長はさらに「市場の分断化が進むなかで、電動化・知能化に必要な技術開発をすべて自社でやることは大変厳しい状況にある」とも話しました。日産はルノーとの資本関係を見直し、対等になりました。提携は継続するものの、いわばルノーの縛りが解かれたことで、新たなパートナー探しが急務だったと言えます。 一方、ホンダの三部社長は日産・内田社長に比べるといくらか冷静に見えました。 「基本的にwin-winの関係が成り立つのが大前提」 「MOU(基本合意書)を結ばないとなかなか深い議論ができないということで、フルオープンにして、表面上で両社が議論できるような形にした」 「2030年にグローバルで戦えるポジションにいられるのか、いまの判断が重要」