司法修習の「大量の手書きで精神的苦痛」 高裁が請求棄却 “問研起案”は「過度の負担とはいえない」
東京都の男性弁護士(30代)が、司法修習生だった時に長時間にわたって文章を手書きするよう指示されたことで精神的苦痛を受けたなどとして国を訴えた裁判の控訴審で、仙台高裁(裁判長・倉澤守春)が10月2日に原告の請求を棄却した。原告によるとすでに上告したという。 この文書作成は「問研起案」と言われるもので、司法修習の評価対象となる。
●仙台高裁「過度の負担を課すとまではいえない」
訴状や判決文によると、男性は司法試験に合格した後の2022年4月、司法修習生として実務の研修を受けていた山形地裁で刑事裁判に関する文書作成(問研起案)を指示され、5時間にわたって答案用紙12枚分を手書きした。 数日後、首から右腕に痛みが生じ、約2カ月のけがと診断されたため、精神的苦痛を受けたなどとして国に約140万円の損害賠償を求める裁判を起こした。 1審の山形地裁は訴えを退け、男性が控訴していた。 仙台高裁は判決で、「問研起案は、1頁26行の答案用紙に、10~20枚程度の起案を作成するというものであり、司法修習生の身体に過度の負担を課すものとまではいえない」などと指摘し、「控訴人の請求は理由がない」として控訴を棄却した。