監督として5度の日本シリーズ制覇! 工藤公康“選手の育成”と“子育て”の共通点は「時間をつくってあげること」その真意とは?
◆モチベーションを維持するために必要なこと
藤木:試合に出られる選手、特にスタメンの選手はDHを含めても10人しかいません。そのなかで、選手みんなのモチベーションをずっと保ち続けさせるのは、とてつもない作業ですよね。 工藤:そうなんですけど、一人ひとり必ず役割があるので。“試合に出られないからやることがない”ではなくて、ベンチにいるんだったら、試合の状況に合わせて、自分の出番をしっかり選手に考えてもらったり、僕らが「お前はこういうところで使うよ」と言ってあげたりして、出てもらう場面をちゃんと伝えてあげると、選手はそれなりの用意をするんですよ。 それがルーティン化できると、何も言わなくても選手が勝手に自分で(考える時間を)つくるようになるんです。すると、今度は自分のやるべき仕事に集中できるようになるので成績も残りやすい、というところはあります。
藤木:6月23日(日)に出版される工藤さんの著書「プロ野球の監督は中間管理職である」(日本能率協会マネジメントセンター)を拝読したのですが、監督は中間管理職のようだということですか? 工藤:僕はそう思っているんですけど、人によっては“チームのトップ”だと思っていらっしゃる方もいるかもしれない(笑)。ただ、今の球団のシステムとして(一番上に)社長がいて、その次にGM(ジェネラルマネージャー)がいます。 今メジャーでは30球団どこもGM制度を使っているのですが、その人が昔でいう「球団統括本部長」などと呼ばれていた人たちで、ある意味、現場に近い人たちのトップなんです。その下が監督になるので、そう考えると監督は中間管理職かなと僕は思っています。 藤木:GMからは、どのような要望があるのですか? チーム戦術とかに関しては、すべて(監督に)任されているとか? 工藤:現場に関しては任されているんですけど、例えば、今年は(チーム成績が)順調だったとしても、来年に向けて、どの選手を1軍にあげて起用するかとか、2軍でどんな選手が育っていて、今後どんな選手を使えるようにしていくかなど、先々の戦術も考えなきゃいけないので、そういったことをGMといろいろ話をして、2軍の監督やコーチとも連携しながらやっていましたね。 (TOKYO FM「SPORTS BEAT supported by TOYOTA」2024年6月15日(土)放送より)