子どもの「メイク」 早く始めすぎると将来の肌のリスクに? 皮膚科医が解説
自分が髪を染めるときに子どもの髪も染める親御さんも多く、肌トラブルを起こして受診してきたときに染めた理由を聞くと「おしゃれな髪色で目立たせたい。中学生になると校則で染められなくなるから今のうちに染めました」と答えた方もいました。 保護者の方に大切にしていただきたいのは、子どもの健やかな肌を守ること。親は科学的な根拠のある正しい知識を身につけ、子どもに伝えてください。 また、子どもは友だちに流されてしまいがちで、自分はメイクをしたくないのにやってしまうこともあります。周りに同調せず、小学生であっても自分の考えをしっかり持って「私はやらない」ときっぱり断れるようになってほしい。それには、親御さんの声掛けが何より効果的だと思っています。 ――メイクに関心を持つ前から、親にできることはありますか? 本来、子どもの肌は透明感があって、つめはほんのりピンク色で、髪もツヤツヤ、そのままで本当にきれいです。子どもでも「きれい」と言われるのはとてもうれしいもの。小さいころから、あなたはなにもしなくても大人から見ればうらやましいほどきれいだと褒めてあげてください。 また肌を健やかに保つには、保湿とUVケア(日焼け止め)は必要です。子どもの肌は乾燥しやすくバリア機能が未熟なので、保湿剤で水分を補ってあげる必要があります。低刺激のものを選ぶようにしましょう。特に唇は乾燥しやすいので、ワセリンか、着色料や香料などが入っていないリップクリームを塗ってください。 日焼け止めは、敏感肌用や子ども用など低刺激の日焼け止めを選ぶことが大切です。保湿剤も日焼け止めも、徐々に自分でできるように教えていきましょう。 おしゃれは楽しいものですし、自分をよりよく見せたいという気持ちは、自分をもっと好きになることにもつながります。最も身近で子どもに接している親御さんは、本人の気持ちを大事にしつつ、子どもの肌の健康を守るために必要なことを正しく伝えていただきたいなと思っています。 (取材・文/熊谷わこ) ○岡村理栄子医師/皮膚科専門医。東京女子医科大学卒業。同大学付属病院講師を経て米国エモリー大学留学。1987年医学博士取得。88年から東京都小平市に岡村皮フ科医院を開業。東京都皮膚科医会会長や日本小児皮膚科学会運営委員、学校保健委員などを歴任。著書に『子どものうちに知っておきたい! おしゃれ障害』(少年写真新聞社)など。
熊谷わこ