万博の目玉「人を乗せて空飛ぶクルマ」実現せず…審査間に合わずデモ飛行のみに
世界にアピール
商用運航の見送りについて、ある経済団体の幹部は、「乗りたいと思っていた人も多かっただろう。キラーコンテンツがなくなる印象を与えかねない」と気をもむ。 政府や万博協会は、実用化を見据えた最新型機のデモ飛行を万博会場で見られるようにして、「来場者が未来を体感する大きな場」(協会幹部)にしたい考えだ。関西経済同友会の永井靖二・代表幹事(大林組副社長)は「デモ飛行だけでも世界にアピールできる貴重な情報だ」と強調する。 日本政策投資銀行の岩本学調査役は「海外の航空当局にとっても空飛ぶクルマの認証は初めてに近く、万博に間に合わせるのは初めからチャレンジだった」とした上で、「万博を機に企業からの関心は高まった。事業化の機運をしぼませないためにも、万博で未来の移動手段の可能性を見せる意義は大きい」と指摘する。
<空飛ぶクルマ>
少人数が乗って空中を移動できる乗り物で、〈1〉電動〈2〉自動運転〈3〉垂直離着陸ができる――といった特徴がある。将来はクルマのような日常的な利用が想定されている。海外では「eVTOL(電動垂直離着陸機)」と呼ばれる。