国のエネルギー政策どう決める?
原子力発電所の再稼働をするべきか? 自然エネルギーはどれくらい本気で取り入れるべきか? いま日本の中長期のエネルギー政策の方針を決める大事な話し合いが持たれています。年内にはその方針がとりまとめられる見通しです。日本のエネルギーの方針はどのように決まり、いま何が問題となっているのでしょうか? [図]日本の原子力発電所と原子炉数 日本のエネルギー政策の方針は、政府が定める「エネルギー基本計画」によって決まります。この計画は、少なくとも三年ごとに見直すことが法律で決まっていて、いまその作業が進んでいるのです。 この計画を定めるにあたって、経済産業省は「総合資源エネルギー調査会」という諮問機関を置き、委員らの意見を聞いたうえで、大臣が基本計画の案を作成し、閣議決定を待つというプロセスで進みます。
現在の基本計画が決まったのは、民主党政権時代、原発事故が起きる前の2010年6月のことでした。地球温暖化問題は、関心が高く、切実な課題です。これを受けて、二酸化炭素を出さない電力を2030年までに39%から約70%にまで引き上げ、エネルギー自給率を倍増させることなどを目標として掲げました。 この目標を2030年に達成するため、計画では、二酸化炭素を出さない発電エネルギーとして、原子力による発電量の割合を29%から53%に、自然エネルギーによる発電の割合を9%から21%に引き上げます。一方、二酸化炭素を出す石炭やLNG(液化天然ガス)による発電の割合は四分の一以下にします。その取り組みとして14基以上の原子力発電所の増設もする――と言っていました。 ところが計画策定から1年も経たないうちに、東日本大震災で福島第一原子力発電所の事故がありました。これを受けて、当時の野田首相が「これまでのエネルギー社会の在り方に大きな疑問を投げ掛けた」として「2030年代に原発稼働ゼロを可能とする」という方針を示したのです。 その後、2012年12月の衆議院選挙で第2次安倍政権が誕生。今年1月になって安倍首相が「前政権のエネルギー・環境戦略をゼロベースで見直す」ように大臣に指示しました。当然、「2030年代に原発稼働ゼロ」の方針も見直しの対象です。