それ「消化不良」かも?食べたものがそのまま便で出てくる理由
健康のバロメーターのひとつともいえる便の状態。体調不調が心配されるときに起こりがちな便秘や軟便などのトラブルのほかに、「排便時に食べたものが“そのまま”の状態で便として出てきた!」と驚いた経験はありませんか? 【写真】「便秘」の予防と改善におすすめの食材10選 実は、そこには「消化不良」以外の原因も。 本記事では、医師や栄養士などの専門家が解説する「食べたものがそのまま便で出てくる理由」を、<プリベンション>から紹介します。
消化されにくい食べもの
コーンやにんじん、シリアルといった、食物繊維を多く含む高繊維の食品を食べた場合には、腸をはじめとする消化管で消化や吸収といった働きがほとんど起こらずに、そのまま食べ物が便といっしょに体外へ排出されてしまうことがあるのだそう。 「植物由来の食品のほとんどは、人体にとってエネルギーに変換しにくい、複雑な炭水化物を成分としています」と説明するのは、消化器専門医のダニエル・フリードバーグ医師。 栄養を逃さず調理して食べるためには、野菜であれば蒸すのがおすすめ。やわらかくなり、より多くの栄養分を吸収することができるでしょう。
よく噛んで食べていない
食事する際にきちんと噛んで食べているかどうかによって、排便時の便の見た目が違ってくるのだとか。その理由は、消化のプロセスが食べものを歯で砕いたりつぶしたりする「咀嚼」から始まるため。 食品と栄養の専門家によるアメリカの団体「アカデミー・オブ・ニュートリション・アンド・ダイエテティクス」の広報で登録栄養士のソニア・アンジェローンさんによると、「食事をするときに食べものをよく噛まずに飲み込むと、消化酵素が効率的に働かず、“手つかずの状態”で消化管を通過しまうこともあります」とのこと。 この消化酵素とは、唾液腺や胃腺、すい臓、肝臓、小腸から分泌される分泌液。食べたものを分解し、体内に栄養分として取り込みやすくするよう、化学反応を促進する働きがあるものです。
かたい外殻がある食べもの
種実類のなかには実がかたい殻で覆われているため、しっかりと咀嚼しなければ、内部の脂肪分を摂取することが難しいものも。けれど、それほどかたいわけではない「とうもろこしの粒」も、腸で消化されず、そのままの形で排泄されることがしばしば。 とうもろこしの粒を覆う果皮はセルロースと呼ばれる繊維でできており、人間の消化酵素ではそれを分解することができないのだとか。そのため粒の中身だけが消化され、果皮は便に残るというわけ。この時、栄養分は吸収できているそう。