ヒートショック対策にも。正しいお風呂の入り方とメリットを専門家が解説|寒い季節に心身に効く入浴方法・ステップを学ぼう
寒い冬、温かいお風呂にゆっくりと浸かるのは至福の時間です。ただお風呂に入るだけでなく、正しい入浴方法を知っていれば、より心身のリラックス効果を高め、深い睡眠をとることにもつながります。 【写真集】そのお風呂の入り方、間違っているかも。入る前にシャワーを出す?お湯は1℃の差が重要?電気はオフに?知らないことだらけの入浴法 そこで今回は、寒い季節にぴったりの入浴方法を、赤ちゃんから大人までの睡眠指導を行う「JCSP日本睡眠改善カウンセリング」を主宰し、眠りとお風呂の専門家として活躍する小林麻利子さんにお伺いしました。
お風呂のメリット、正しい入浴方法が大切な理由
シャワーで済ませてしまうということも多い現代人。しかし、お風呂に入ることの心身的メリットは大きいのだと小林さんは話します。 【ぐっすり眠れるようになる】 いちばんのメリットは、お風呂に入ることで睡眠の質向上につながるということ。お風呂に浸かることで深部体温が0.5~1度上昇します。その後、急激に体温が下がることで、まるで眠りのスイッチが入るかのようにぐっすりと眠ることができるのだそう。 スリープライブ睡眠研究所が行った研究では、湯船に浸かって0.5度深部体温が上昇した場合の方が、シャワーの時よりも、就寝中の深部体温の低下の勾配が約4倍大きかった結果が得られています。 つまり、適切にお風呂に浸かることで、深い睡眠までの到達時間が早くなることが期待できます。 【心身にさまざまなメリットが期待できる】 入浴によって副交感神経が刺激されると、自律神経が整い、イライラしにくくなったり、憂鬱な気持ちになりにくいといったメリットも。「深く眠ることで、論理的思考やコミュニケーション能力を司る前頭連合野の機能が修復します。つまり、お風呂にきちんと浸かり、眠りの質が良くなることで、仕事のパフォーマンスアップも期待できると言えます」と小林さん。 血行がよくなることで美容にもよく、免疫力の向上も。「温熱刺激によってつくり出される“ヒートショックプロテイン”というタンパク質が、体の機能を向上させてくれるんです」
専門家が教える!深い眠りのための入浴方法・ステップ3
それでは、深い眠りのための正しい入浴方法とは?小林さんが推奨する、より効果的な入浴方法をステップごとにご紹介します。 体の汚れを落とすという目的だけでなく、上に記載した心身的メリットを得るためには「正しく入らなければ意味がない!」と小林さんはおっしゃるほど。推奨の入浴法をマスターして、その違いを体感してみましょう。 <STEP1.入浴前の準備> ・シャワーでお風呂場を温める お風呂に入る前に、温かいシャワーで浴室を温めておきます。浴室の湿度を上げることで体感温度がぐっと上がり、お湯に浸かる前、“浴室に入った瞬間から心地よい”環境をつくることができます。 ・浴室の電気はオフ! お風呂に入るときは、浴室の電気を消して、脱衣所の灯りだけで済ませるのがおすすめです。浴室の照明は、思っている以上に明るい場合がほとんど。明るい光は、睡眠を促すメラトニンというホルモンの分泌を妨げてしまいます。 <STEP2.入浴中> ・頭を洗ってから湯船に浸かる 寒い冬は、すぐに湯船に浸かりたくなるかもしれません。でもおすすめは、まず頭を洗ってしまうこと。先に頭を洗って頭皮の血流をよくすることで、湯船に浸かったあとの血圧の急変動を防ぎ、体をリラックス状態へすばやく導きます。STEP1で、入浴前に浴室をシャワーで温めておくことで、寒さを感じにくくすることができます。 ・40度のお湯に15~20分 湯船に浸かる目安は、40℃のお湯に15~20分ほどがベスト。髪の毛が長い方は、洗髪の際にも体温が上昇するため、お湯に浸かる時間は15分ほどでもOKです。髪の毛が短い方は深部体温をしっかり上げるために、少し長めの18~20分程度の入浴がおすすめです。 そんなに長く浸かれない場合は、温熱作用の高い入浴剤を入れていただくと、入浴時間を少し短縮できます。 ・発汗を目安に 入浴時間は、汗をかいているかどうかも1つの目安に。40℃のお風呂に15分ほど浸かっても、手の甲や額などから汗がジワリと出てこなければ、体が十分に温まっていないといえます。お湯の温度が低い、もしくは入浴時間が短いことが原因かもしれません。汗をかきにくい体質の方は、1週間ほど続けてみると、体が順応し、汗をかきやすくなる可能性があります。 ・さっと体を洗う 湯船から出たら、最後にさっと体を洗いましょう。せっかく温まった体を冷やさないために、皮脂が多いところを中心にボディソープを付けてすばやく全身を洗います。このタイミングで、軽く洗顔するのもおすすめです。