東京ヴェルディVS横浜F・マリノス、Jリーグ開幕戦に見た31年の時の流れ だが選手たちは「今」を戦っていた
もっとも、横浜FMが覇権奪回を目指すには、試合内容は課題のほうが多かった。ふたりのセンターバックの配球が明らかに狙われ、何度も危ない場面になっている。前半は敵陣に押し込めず、攻撃をノッキングさせていた。中盤の編成もうまくいっていなかったし、結局パワーゲームに頼ってしまうのは、昨シーズン後半の失速の余韻をひきずっていた。 横浜FMの"生え抜き選手"でもある水沼宏太は、かつて父である水沼貴史氏がプレーした同じカードの開幕戦のピッチに立てた喜びをかみしめながらも、"今日の試合を次にどう改善するか"しか考えていなかった。 「今日はどうした?」 テレビ解説で来ていた父にもそう声をかけられたと言うが、親子の会話はやはり「今」だった。ノスタルジーに浸っていたら、明日はない。過去も「今」の積み重ねなのだ。 2024年もJリーグが開幕した。
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki