「3年連続最下位」の中日にも“明るい材料”はある 球団関係者は「チーム打率3位で得点数最下位は首脳陣の問題」とピシャリ
好成績を残している中継ぎ陣
これに加えて、若きエース・高橋宏斗の成長が大きい。昨季までは凄いボールを投げながら、試合に勝ち切れない印象が強かったが、今年は12勝4敗と大きく勝ち越し、最優秀防御率のタイトルを獲得した。高橋が残した防御率1.38は、1936年に創立された中日の球団記録である。高橋、金丸という左右の若き両エースが確立できれば、チームが大型連敗する可能性が極めて低くなる。この2人は来年で23歳とまだまだ若く、今後、チームどころか、球界を代表する二枚看板となることも期待できる。 一方、リリーフ陣はどうか。仮にマルティネスが退団すれば、かなりの痛手ではあるが、それ以外にも強力な投手が揃っている。以下のように、今年の主なリリーフ投手の成績をまとめてみた。 清水達也(25歳):60試合3勝1敗1セーブ36ホールド 防御率1.40 松山晋也(24歳):59試合2勝3敗0セーブ41ホールド 防御率1.33 斎藤綱記(28歳):56試合4勝3敗0セーブ19ホールド 防御率2.09 藤嶋健人(26歳):50試合3勝3敗0セーブ14ホールド 防御率2.20 橋本侑樹(26歳):47試合3勝1敗0セーブ5ホールド 防御率1.73 ※年齢は2024年の満年齢 これだけの好成績を残している中継ぎ陣が揃うチームはなかなかない。清水、松山、藤嶋が右投手、斎藤と橋本は左投手と、左右のバランスが良く、年齢も若いことも心強い限りだ。このほか、岩嵜翔や祖父江大輔らベテランや、上記の5人と同年代で実績がある梅野雄吾や勝野昌慶が控えている。仮に、マルティネスが退団しても、清水か松山を守護神に据えれば、ブルペンが大きく崩れる可能性は低いのではないか。
チーム打率はリーグ3位も、得点数が最下位だった理由
一方、今年もリーグ最下位の得点数に終わった野手陣だが、こちらも改善の兆しが見えてきた。昨年、現役ドラフトで加入してブレイクした細川成也が今年も大きく打率(打率.253→打率.292)を伸ばすなど、完全に中軸打者として定着したことだ。 もう1人、核となる選手である岡林勇希は、開幕当初、出遅れながらもシーズン終盤は状態を上げて3年連続で規定打席に到達した。また、福永裕基と村松開人が、自身初となるシーズン100安打を達成したほか、セカンドの田中幹也は、守備面で強烈な印象を残した。捕手の木下拓哉(※FA権の行使を表明)が大きく成績を落としたのは気がかりだが、今年のドラフト会議で、社会人ナンバーワン捕手の呼び声が高い石伊雄太(日本生命)を獲得した。センターラインを中心に戦える陣容は揃ってきたことは間違いないだろう。 実際、今シーズンの打撃成績を見ると、チーム打率はリーグ3位、チーム本塁打数はリーグ4位と、いずれもリーグ最下位だった昨年より改善している。それでも、得点数(373点)が最下位だったのは、立浪前監督をはじめ首脳陣の問題が大きかったのではないかと、中日の球団関係者は話す。 「よく打線が“線”にならないという言い方をしますけど、まさにそんな状態だったと思います。開幕は中田翔を4番にして、細川を5番でスタートしましたが、なかなか機能しませんでした。それ以降もいろんな打順を試していましたが、結局、固定できたのは4番の細川だけですよね。福永なんかは、ずっと安定していたのに、様々な打順を任せられて、もったいないように見えました。どういう形で得点するのかというイメージが首脳陣にあったのか疑問ですね……。それが選手にも伝わっていたのではないでしょうか」