国民取り込み、キーマンは菅氏 榛葉幹事長と太いパイプ【解説委員室から】
少数与党政権は常時、野党が結束すれば内閣不信任決議案が可決されるリスクにさらされる。国民か日本維新の会のいずれかの協力がなければ、政権維持はままならない。こうした状況下、石破首相が国民の取り込みを優先するのは、大阪の4選挙区で維新に議席を奪われた公明党の、維新に対する拒否反応が強い事情もある。「国民の協力を得る上で、菅、榛葉ラインが有効に作用するだろう」。自民中堅は期待を込めて、こう指摘する。 また、政権中枢で維新に太いパイプがあるのも菅氏。いずれ、同党の協力取り付けに本腰を入れる段階になれば、石破首相は菅氏のパイプに頼ることになるだろう。 ◇名古屋市長選も交渉カード 国民の取り込みという点で、政界でひそかに注目されているのが、衆院選に出馬した河村たかし氏の失職に伴う名古屋市長選(11月10日告示、同24日投開票)。自民党が候補者を擁立するかどうかだ。 市長選には、出馬のために国民を離党した参院議員と、河村氏の後継の前副市長らが名乗りを上げている。一方、自民党市議団は10月上旬、市議の擁立を決めたが、党本部の了承が得られず、白紙に戻ったまま。 衆院選で国民は、愛知県内の3選挙区で新たに議席を得ており、国民系の市長が誕生すれば、地盤の強化につながる。名古屋市長選で自民党が独自候補を立てず、国民系参院議員の支援に回ることは、国民を取り込む上で、交渉のカードになり得る。自民党内では、衆院選での苦戦を予想した森山氏が「名古屋市議団の動きにストップをかけた」との見方がもっぱらだ。 高橋 正光(たかはし・まさみつ)1986年4月時事通信社入社。政治部首相番、自民党小渕派担当、梶山静六官房長官番、公明党担当、外務省、与党、首相官邸各クラブキャップ、政治部次長、政治部長、編集局長などを経て、2021年6月から現職。