国民取り込み、キーマンは菅氏 榛葉幹事長と太いパイプ【解説委員室から】
衆院選での自民、公明両党の与党過半数割れを受け、石破茂首相は政権維持を目指し、国民民主党の取り込みに懸命だ。11月11日に召集される特別国会での首相指名選挙で同党の玉木雄一郎代表は、自民党、立憲民主党のいずれにもくみしない方針のため、石破首相が再び指名され、少数与党の連立政権として継続する可能性が高い。政権維持に必要な国民の協力を得る上で、キーマンの一人は、榛葉賀津也幹事長にパイプのある自民党の菅義偉副総裁だ。(時事通信解説委員長 高橋正光) 【ひと目でわかる】衆院選2024・各党の獲得議席 ◇参院選、水面下で支援 榛葉氏は2001年参院選(静岡選挙区)に旧民主党から出馬して初当選、現在4期目。この間、玉木氏と共に2018年の結党に参加し、20年から幹事長を務めている。菅氏に近い自民党中堅によると、菅氏と榛葉氏は党派を超えて親交があり、互いに信頼し合う仲だ。 それを裏付ける一つは、榛葉氏が4回目の当選を果たした19年参院選。国民と同根の立憲民主党も静岡選挙区(定数2)に候補者を立てたことから、自民現職も含めた三つどもえの激戦となり、地元では榛葉氏の当選を危ぶむ声も漏れた。 この時動いたのが、安倍晋三内閣の官房長官だった菅氏。組織力から自民現職の当選が動きそうにないこともあり、水面下で榛葉氏を支援したという。 一方、榛葉氏は、自身の議席を奪いにきた当時の枝野幸男代表や福山哲郎幹事長ら立民執行部への不信感を募らせた。立民の代表はその後、泉健太氏を経て、野田佳彦氏に代わったが、立民に対するわだかまりが消えたかは分からない。榛葉氏は29日のBS-TBSの番組で、立民側から首相指名選挙で野田代表への投票を求められ、断ったことを明らかにした。 国民は衆院選で、税額控除に関するいわゆる「103万円の壁」の見直しなどで「所得を増やす」と訴え、躍進した。自民党の森山裕幹事長は31日、国会内で榛葉氏らと会談し、公明党も交えて政策協議を進めることで合意。自民、国民の党首会談を11月9日にも開くことを申し合わせた。 国民との調整に動く森山氏は、菅政権で国対委員長を務めるなど、菅氏の信頼が厚いことで知られる。