「三幸製菓」6人死亡火災の背景に“父子相剋” 創業者の名誉会長が「強制入院」させられていた
カリスマ経営者
2022年2月に起きた「三幸製菓」荒川工場の火災では、男性社員二人とパート清掃員の女性4人が死亡し、女性社員一人が負傷した。惨事から2年。新潟県警は、業務上過失致死傷容疑で佐藤元保CEO(53)ら4人の書類送検に踏み切った。 ***
今回新たに、佐藤CEOが、自身に警告を発する人物の排除に及んでいたことがわかった。その一人が、三幸製菓の創業者で実父の佐藤富一郎氏(86)である。 富一郎氏は、三幸製菓を「亀田製菓」に次ぐ業界2位に押し上げ、カリスマ経営者とも呼ばれた。その富一郎氏が社長の座を長男の裕紀氏に譲り、会長職に就いたのは07年5月。裕紀氏が社長を退き、代わって、17年6月に次男の元保氏が代表権を有するようになった。続いて、20年4月、関連会社との合併で新生・三幸製菓になると、元保氏はCEOへと転じている。 三幸製菓関係者によると、 「元保さんは代表権を得た2年後、会長だった富一郎さんの締め出しにかかりました。海外旅行から戻った富一郎さんが出社しようとしたところ、顧問弁護士と警備会社のガードマンが立ちはだかり、社内に入れさせなかった。富一郎さんは“青天の霹靂”“乗っ取られた”と悔しがりました。相続税対策で三幸製菓関連の株式を息子らに譲渡済みでしたから、富一郎さんはなにも対抗手段を講じることができませんでした」
強制入院
時を同じくして、富一郎氏は会長を実質的に解任され名誉会長へと追いやられている。 「時たま、富一郎さんは心臓の心房が痙攣する不整脈の一種である心房細動を発症したり、高齢者特有のせん妄症状が現れることがありました。しかし、認知症と診断されたわけではなかった。ところが、元保さんは“痴呆になった”と触れ回り、 “お役御免”にしたのです」 しかも、それだけに留まらず、富一郎氏は精神科病院に「強制入院」させられたのだ。 「22年4月、富一郎さんに離婚問題が持ち上がりました。弁護士に“1週間前に妻が家を出て、行方不明で事故に遭っていないか心配。しかし、もし私と一緒にいるのが嫌なら、妻との離婚も考えなければならない”と対処を依頼した。そこで、弁護士が家政婦に訊いたところ、富一郎さんが暴力を振るったために妻は家出をし、長女の元に身を寄せていると。一方、富一郎さんは暴力を否定したため、弁護士は長女に事情を訊ねることにしました」 「週刊新潮」2024年3月21日号「MONEY」欄の有料版では、富一郎氏が精神科病院に「強制入院」させられる過程を詳報する。なお、三幸製菓は、「個人情報にかかわりますので、回答を控えさせていただきます」とのことだった。 「週刊新潮」2024年3月21日号 掲載
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