平和の尊さ、胸に刻む 戦後79年、各地で追悼 奄美群島
終戦から79年を迎えた15日、鹿児島県奄美群島の各地で戦没者慰霊祭や追悼式が行われた。参列者はかけがえのない命を失った戦没者へ追悼の祈りをささげ、戦争の記憶を風化させることなく未来へ受け継ぎ、平和をつなぐ決意を新たにした。 奄美市名瀬では、同市主催の戦没者合同慰霊祭がアマホームPLAZAで開かれた。遺族や行政、自衛隊関係者ら約70人が参列。国歌を斉唱し、平和への思いを胸に手を合わせ、正午のサイレンで黙とうをささげた。 安田壮平市長は「現在私たちが享受している平和と豊かさは、戦禍により尊い命を失われた戦没者の重い犠牲の上に築かれていることを忘れてはならない。記憶を風化させることなく未来へと語り継ぎ、平和の尊さを継承していくことが、今ここに生きる私たちに課せられた使命。誰もが安心して心豊かに暮らせる地域づくりに向け、全力で取り組んでいく」と誓った。 同市慰霊祭は新型コロナウイルスの影響で2020年から規模縮小や中止が続き、23年に人数制限のない開催へ戻った。19年までは毎年約100人が参列していたが、23、24年はいずれも約70人と参列者数の減少が続いている。 生後約2カ月の時に父を亡くしたという奄美市の遺族の女性(81)は「父を思うとともに、母の苦労が思い起こされる。父が付けてくれた名前をみんなが呼んでくれてうれしかった。自分は母や周囲の人たちに見守られていたと感謝している。同じ気持ちの方と慰霊祭で会えたら、と思っていたが、きょうはいつも会う方とも顔を合わせることなく、寂しく思う」と語った。 戦争で亡くなった叔父を思い、毎年慰霊祭に参加しているという奄美市の女性(76)は「昔はもっと参列者が多かった。皆年齢を重ね、自分も足腰が痛み、じきに来られなくなってしまうかもしれない。同じ人間なのに、なぜ戦争が起こってしまうのか。二度と戦争を起こさないようにしてほしい」と話した。