福岡から「約束の場所」パリへ 元バレー女子日本代表の迫田さおりさんが感じた「見えない力」、PVで共演した栗原恵さんの魅力
バレーボール女子元日本代表・迫田さおりさんコラム「心の旅」
好きな言葉は「心(こころ)」だという。バレーボール女子元日本代表のアタッカー、迫田さおりさんは華麗なバックアタックを武器に2012年ロンドン五輪で銅メダル獲得に貢献した。現役引退後は解説者などで活躍の場を広げながら、スポーツの魅力を発信しようと自身の想(おも)いをつづっている。 ■【写真】PVで共演した栗原恵さんと一緒にポーズを取る迫田さおりさん 目を合わせると、心まで通じ合ってくるような気がします。バレーボールのネーションズリーグ男子福岡大会で、初めてパブリックビューイング(PV)を体験しました。福岡市内の大型商業施設「ららぽーと福岡」には、子ども連れの家族も大勢集まり、皆さんと同じ目線、熱量で喜び、悔しがり、楽しみました。 熱戦続きだった北九州市の試合会場でなくても、こういうふうに一緒に選手と戦ってくれていたのだと、改めて実感しました。キラキラした目、自然と口を突く「頑張れ!」の声…。熱気はそれぞれの想(おも)いの結晶なんですね。 PVでは女子日本代表でも活躍した「メグさん」こと栗原恵さんとも同じ時間を過ごしました。私がハイテンションになっている時も、冷静かつ的確にポイントを伝えていました。物腰の柔らかさとスマートさのバランスが絶妙で、選手へのメッセージが込められた解説者としての立ち居振る舞いも尊敬しています。
ゴールデンタイムで中継、選手の名前と顔を覚えた方も
現役時代と変わらないオーラもあります。ご存じのように女子バレー界のスーパースターで、私もテレビでプレーを見ていた世代です。メグさんは、ファンの方から声をかけられる機会が本当に多いんです。しかも誰とでも気さくに言葉を交わしているんですよ。そんな姿がすてきだなと。 福岡大会は、女子も大いに盛り上がりましたね。試合会場のチケットも完売だったとか。男女ともにテレビ中継の視聴率は、プロ野球のソフトバンクホークスの試合を上回ったそうです。特に女子は福岡でパリ五輪出場が決定しました。ゴールデンタイムで中継されたこともあり、関心が高まったこの機会に選手の名前と顔を覚えた方も多いのではないでしょうか。 近年はコロナ禍もあり、メディアへの露出が減った現実を目の当たりにしてきました。普及活動や報道などで競技に携わる身として、ある種の寂しさも覚えていました。それだけに今回のファンの力強い後押しに勇気と元気を頂きました。選手はネーションズリーグで海外を転戦する心身の疲労もあったことでしょう。その中で、女子が2004年アテネ大会からとなる6大会連続の五輪出場を決めたことで、パリではさらに熱い声援を送っていただけると確信しています。