学校のBBQで18歳生徒が焼死 消された「危ない」の声 危険性を指摘した生徒を理事長が無視か
■事故の背景に“ワンマン経営” 誰も意見できない 事故の背景にあったのが長い間続いてきた“ワンマン経営”だったという。 この学校では古賀理事長が先代の母親の後を受けて、35年以上、実質的に理事長を続け、息子が副理事長、妻が学園長を務める、「家族経営」が行われていた。 ■アルコールを投入した職員 直前に理事長から叱責 報告書では理事長による日常的なパワハラ的な行為の可能性も指摘された。 職員たちの証言によると、事故の約1週間前に、コンロにアルコールを投入した20代の男性職員が遅刻し、理事長が「退職届を書かんね」などと大きな声で叱責した。 報告書より 職員 「男性職員は何も判断がつかない状態まで追い込まれていた様子だった」 男性職員自身も「バーベキューの時に自分たちのクラスで食べるのが遅くなって、怒られるのが嫌だった」と話している。 ほかにも「怒鳴られて退職を考えた」「理事長は時期によって“ターゲット”を決める」などと、理事長によるパワハラ行為を伺わせる内容が列挙されていた。 ■会場には万一に備えた”水がなかった” さらに問題だったのが、学校側のずさんな対応だ。 「ハリウッドワールド美容専門学校」ではすべての学校に作成が義務付けられている「学校安全計画」や「危機管理マニュアル」も作成されておらず、教職員への研修も行われてこなかった。 当日の会場にも水を入れたバケツは用意されていなかったうえ、水道も開栓ハンドルが取り外されていて使える状態ではなかった。 調査に加わった医師は、「大量の水をかけて冷やすことができれば、男子生徒の命を救えた可能性もあった」と話す。 報告書より 医師 「直後に大量の水を冷やすことを行えば、重症化を防ぎ救命できた可能性もあったかもしれない。組織としての未熟さを現す実態は枚挙にいとまがない」 ■理事長は「まるで接待でもしているかのような対応」 また、第三者委員会は保護者や生徒への対応にも問題があったと指摘。 亡くなった男子生徒が全身にやけどを負い、ドクターヘリで搬送されたが、保護者は病院に到着するまで、学校側から命の危険があるとは知らされていなかったという。 病院で理事長と面会した保護者は、「まるで会合の接待でもしているかのような対応」で謝罪の意は感じられなかったと話している。 また事故後も警察や消防による現場検証を行われる中でも約50分間にわたってバーベキューは続行され、生徒を移動させるなどの適切な対応を取らなかったと批判された。 最終的に第三者委員会は、理事長による「強権的な経営体質」が変わらない限り、同様の事故が再発する危険性が極めて高いと結論づけた。