あなたの会社にブルー・オーシャン・シフトは必要か
■ブルー・オーシャン・シフトが重要な理由 実に多くの業界が、新たな価値コスト・フロンティアを確実に必要としている。ヘルスケア業界やエネルギー業界しかり。アメリカの公教育は、従来はいわゆる「業界」とは見なされてこなかったが、再考が求められている。コストが急増しているにもかかわらず、成果は許容できないほど小さいからである。自動車業界は、現在のところ急激に業績が悪化しているわけではないが、合理的なコストの範囲内で環境問題に対処するための新しい方法を、明らかに必要としている。銀行をはじめとする金融機関は、持続的に高業績を上げるための新戦略を切に求めている。 国連のシナリオによると、人口と消費が現在の傾向のまま推移したなら、全人類に十分な資源と新鮮な空気をもたらすには、2030年代までに地球が2つ必要になるという。自治体による水道水の生産と供給、受電と電力の使用、不可避に見える危機を避けるための都市設計とその運用など、多様な基盤分野において、新たな価値コスト・フロンティアを開拓する必要がある。 既存業界で思い付いたものをどれでもよいから1つ選び、ブルー・オーシャン・シフトの必要がないか、考えてみよう。供給に対して需要はどれくらいあるだろうか。最近では薄利、コスト上昇、横這いないし低下傾向の売上高、市場シェアの奪い合いが、建設、ヘアサロン、広告、法律事務所、製紙、出版などあらゆる業界に打撃を及ぼしている。郵便局、美術館、図書館、慈善団体、クラシックオーケストラのような公的セクターや非営利セクターでさえも、需要の低減、コストの上昇、競争の激化に見舞われ、財務が逼迫している。 要するに私達は皆、自分のまわりのレッド・オーシャンにお金を払っているのだ。裏を返せば、新たな価値コスト・フロンティアの開拓ひいては利益ある成長を可能にする、創造的な戦略を、もっと考案しなくてはならない。ブルー・オーシャン・シフトが求められるのだ。 あなたはどうだろう。 もしかしたらあなたは、(中略)若い企業すなわち新興企業や中小企業の経営者ないし一員かもしれない。競争の熾烈なレッド・オーシャンを抜け出して、利益ある成長を実現する必要性を理解しているが、方法が分からずにいるのかもしれない。 あるいは、(中略)ルーチン業務、社風、典型的な官僚的体質が染み付いた、伝統的な大組織の一員だろうか。所属組織は、血みどろの競争が繰り広げられるレッド・オーシャンでくすぶっているが、あなた自身は製品・サービスの陳腐化や価格競争の波からどうすれば逃れられるのか、そもそもそれが可能なのか、疑問を抱いている。皆は古い発想に凝り固まっているように見えるが、それでもあなたは、未来を掴み取るには戦略変更が不可欠だと心得ている。 あるいは、政府系組織や省庁、もしくは他の公的セクターの組織に属しているが、その方針や慣行はもはや有効ではないかもしれない。コストを下げながら提供価値を飛躍的に増大させるために、根本的な変革が必要だと分かっているが、その実現を思い描くことさえできずにいる。 もし以上の状況のどれか1つでも思い当たるなら、ブルー・オーシャン・シフトはあなたにふさわしい。
W. チャン・キム,レネ・モボルニュ