巨大なキャットタワーに暮らす!? 猫と人のより良い暮らしを夢みた家
たしかに階層で分かれていながら、扉をあければ巨大なワンルームのようにも思える空間は、姿が見えなくても、どこかに存在感を感じられるよう。猫たちは季節や温度によって部屋部屋を移動しながら暮らしているそうです。
ヘリンボーン柄になっている床材など、ベースは木目調ですが、階段の手すりやキッチンのスツールなどところどころにアルミニウムが使われているのもモダンなアクセントに。ちなみにこの手すり、アルゴン溶接という高度な溶接技術が使われているのだそうですよ。
自邸のさまざまなパートを説明してくれた山之内さんですが、なかでも熱を込めて話してくれたのは水栓(蛇口、ボウル、シャワーヘッドなど)への愛。キッチンの蛇口はデンマークのインテリアブランド「VOLA」*によるもので、「ブロンズのものがあるのは今日本でここだけです」と。水栓が好きという人、なかなか珍しいのじゃないかしら。 註:創設者であるアルネ・ヤコブセンはデンマークの建築家・デザイナー。
都内から鎌倉へ引っ越してまもなく半年。「猫たちは以前の家よりのびのびと暮らしています」とのことですが、ここに暮らす山之内さんご夫妻も幸せそう。猫にも人にもやさしい、楽しい「A Cat Tree House」です。
● 山之内淡(やまのうち・たん)
「Tan Yamanouchi & AWGL ( 株式会社AWGL一級建築士事務所 )」代表建築家, 設立者。北海道札幌市出身。幼少期より建築家である父の事務所と現場で, 建築設計の実務を学ぶ。建築家である, 故・小嶋一浩に師事.その後, 慶應義塾大学大学院修士課程修了。株式会社博報堂に Market Design(MD)職として入社。広告クリエイティブに従事したのち、2018年より建築家として活動を開始。主な受賞歴として, 日本建築設計学会より「Architects of the Year 2017」、2022年には, World Architecture Communityの主宰する国際建築賞「WA Awards (43cycle) 」において, 日本人建築家として最年少受賞を果たしている。
写真/平郡政宏 文・編集/秋山 都