「政治資金規正法はザル法だ!」 裏金受け取った議員の立件には高いハードルも 法律の問題点とは? 元東京地検特捜部検事・郷原信郎弁護士が捜査のポイントを詳しく解説
「政務活動費だった」という言い訳は通用しない しかし巧妙な側面も…
もう一つのポイントは、「政策活動費」という言い分です。 安倍派の池田佳隆衆院議員は「自民党からの政策活動費と認識して受け取った」と話しています。 政策活動費とは、政党から政治家個人に渡されるお金で、領収書や使い道を公表する義務がありません。 (Q.派閥からのキックバックについて、このような言い分は成立するのでしょうか?) ーーキックバックを行っていたのは派閥ですから、政党からというのは本来考えられません。この弁解は、全く信用できないことは間違いないと思います。ただ、どこの団体の収支報告書に書くべきなのかが結局は分からないので、巧妙な弁解ともいえます。 使い道を明らかにしないで良いお金が法的に許される形で存在していること自体が問題です。政策活動費は、政治家個人への寄付の禁止の例外になっているので、改める必要があります。
政治資金規正法はザル法 議員の責任問える法律に改正を
郷原さんは政治資金規正法について"ザル法"だと指摘しています。こうしたなか、政府・与党は改正案を検討しています。 ・政治資金のやりとりは、銀行口座やデジタルにして、足跡が残るようにする ・収支報告書は第三者が検証しやすいようデジタル化する ・パーティー券収入の記載義務が生じない金額を現行の20万円以下から5万円に引き下げる 以上のような内容です。 (Q.現状の問題とこの改正案についてはどう考えますか?) ーーこれくらいは当たり前だと思います。それだけでは、解決しません。 繰り返しになりますが、議員個人は収支報告書を作成・提出しなくて良いという問題を正さないと、根本的には解決しないと思います。 政治資金規正法は、法律の目的に反する行為をしっかり違反に問えるような"切れる刀"にしなければいけません。
郷原信郎 弁護士 元東京地検特捜部検事 過去に政治資金規正法違反事件を何度も捜査
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