兄が見た慶応・清原勝児 父・和博さんの助言を胸に夢のセンバツ
第95回記念選抜高校野球大会は第4日の21日、慶応(神奈川)の清原勝児選手(2年)が登場する。父はPL学園(大阪)で甲子園最多13本塁打、プロで歴代5位の525本塁打を放った和博さん(55)だ。大打者の父を持ち、大きな注目を集める勝児選手とはどんな人間なのか。小学生時代から一緒に野球をやり、一番近くで成長を見てきた兄・正吾さん(20)が語る弟とは――。 【似てる? PL時代の清原さんと次男・勝児選手】 「勝(かつ)が打つたびに家族みんなで喜んで、僕自身も試合が楽しみ。うれしい気持ちもあれば、自分も頑張らないといけないなとお互いに刺激し合っている存在です」。慶応大野球部に所属する正吾さんは、三つ下の勝児選手の活躍を喜ぶ。 小学3年で野球を始めた正吾さんに対し、勝児選手は幼稚園の年長で野球に触れた。「家にはいつもバットとボールがたくさんあった。家の中でもプラスチックバットと新聞紙を丸めたボールで遊んでいた」 兄弟で小学校の慶応幼稚舎に入り、少年野球チーム「オール麻布」でも一緒だった。勝児選手は小学生時代に同級生と比べて体格が良かった。「あいつの打球のすごさは当時から直接見てきた」 中学はともに慶応普通部に進み、勝児選手は強豪の世田谷西リトルシニアで全国の舞台を経験した。一方、正吾さんは中学時代にバレーボール部に入り、慶応高ではアメリカンフットボールに打ち込んだ。 しかし、慶応大進学を前に野球への意欲が再燃し、再び白球を追うようになった。新型コロナウイルスの影響でアメフト部の活動が休止になった時期に、父や勝児選手が野球を楽しむ姿を見たのが理由だった。「(兄が慶応大で)野球を再開したことは、弟の方が不思議な感じがするんじゃないですかね」 同じ慶応の高校と大学で野球に打ち込む2人。それぞれ打撃フォームの動画を撮って送り、アドバイスしあうこともある。 グラウンドでの気持ちの表し方も違う。 「僕はガンガンイケイケだけど、勝は虎とライオンみたいに鋭い目をしながら静かに向かっていく気迫がある」 2人が大切にする和博さんからの助言がある。「自分はここまで練習してきた、と自信がつくまで練習する。緊張を止めてくれるのも、自分がここまで練習してやりきったと思えるかどうか。そこまで練習を追求してほしい」。高校時代にスター街道を歩み、プロ野球の世界でも期待と重圧を受け止めて戦ってきた父だからこその言葉だ。 昨夏の甲子園で東北勢初制覇を果たし、夏春連覇に挑む仙台育英(宮城)と初戦でぶつかる。勝児選手はどんな打撃を見せるのか。正吾さんも待ち遠しそうだ。 「甲子園に行けるなんて夢にも思っていなかったので心底うれしいです。家族みんなが楽しみにしている。泥臭く一球を大切にして、一生懸命頑張ってくれればうれしい」【浅妻博之】