「腐ったな」の言葉に反発し歌舞伎町へ 城咲仁をカリスマホストに導いた親父との葛藤
城咲さん:27歳になり、将来のことを考え始めていました。おそらく、あと数年は順調だろうと。でも、このまま30代を超えてもホストクラブにいる自分を想像したら、カッコ悪かったんです。気づいたら「城咲仁がいつの間にか下り坂を歩いている」となったら嫌だなと思って。 やっぱり世間は「いま旬の人、ナンバーワンの人」に興味があるんですよ。だから、絶頂期に辞めようと決めました。すると周囲も「どうして何億も稼いでいる人が突然辞めるんだろう」と興味を抱いてくれるんです。そこから芸能界に転向したのは、いい選択だったと感じます。
■大人の社交場が「推し活の場」に変わった ── ホストは華やかないっぽうで、トラブルに巻き込まれる危険もあるのではないでしょうか? 城咲さん:まさにそのとおりです。一歩間違えると犯罪行為になりかねません。だから、現役当時は「城咲仁」というブランドを大切にして、クリーンなホストでいるため、みずからにルールを課しました。 具体的にはお客様とは体の関係を持たない、店外でお客様とふたりきりで会わない、ピアスを開けない、肌を焼かない、身だしなみに気を配るといったことです。
── 現在、ホストが客の飲食代金を立て替える「売掛金」が問題になっています。こちらについてはどう思いますか? 城咲さん:ホストクラブがSNSなどを通してメジャーになった弊害だと思います。僕が現役のころは、ホストクラブは大人の社交場だったんです。バリバリ仕事をしている女性社長や銀座のママたちが遊びに来る、敷居が高い場所でした。 ところが現在はホストクラブが「推し活」をする場所になっています。自己肯定感の低い若い子がお店に来ると「ホストって優しい。私の話をちゃんと聞いてくれる」と夢中になってしまうんです。その結果、お気に入りのホストをトップにさせようと、借金してでも貢いでしまいます。本来であれば、お客様がそこまでする前にホストが止めるべきです。