ウクライナ軍が南部の村に進撃 ちぐはぐな「戦果」は指揮系統の深刻な問題を示唆
ロシア軍部隊のローテーションによる一時的な混乱に乗じて、ウクライナ軍の小規模な部隊が、ウクライナ南部ザポリージャ州ザポリージャ市南方の最前線付近のカムヤンシケ村に進撃したと報じられている。 北と西をドニプロ川流域の沼地に囲まれ、2022年2月のロシアによる全面戦争開始前には2000人ほどが暮らしていたカムヤンシケは、この数週間でウクライナ軍が前進を遂げた数少ない場所のひとつだ。 しかし、この前進はつかの間のもので終わるかもしれない。そして、この戦果はむしろ、ウクライナ軍の指揮系統の深刻な問題を示している可能性もある。 ウクライナ東部ドネツク州のきわめて重要な防御拠点がロシア軍の執拗な攻撃にさらされているというのに、ウクライナ軍はなぜ優先順位の低い方面で、それほど大きな意味のない攻撃のために人命やリソースを危険にさらしているのか。投入できる兵員や兵器はすべて、東部に向かわせるべきではないのか。ウクライナ軍の地域司令部は、なぜ適材適所の旅団の配置をしようとしないのか。 ウクライナのマルヤナ・ベズフラ最高会議(国会)議員はかねてウクライナ軍の軍事計画を辛辣に批判してきた人物だが、ほとほとうんざりしているようだ。 カムヤンシケのウクライナ軍部隊がロシア軍のドローン(無人機)攻撃を受けた22日、ベズフラはソーシャルメディアで、ウクライナ軍でも一部の指揮官によって歩兵が「いわゆる肉弾突撃や低地の陣地奪還、事前偵察や部隊間連携をしばしば欠いた状況」に投入されているとして「ロシア軍と変わるところがない」と指弾した。 ロシアの軍事ブロガーであるロマノフは、カムヤンシケに侵入したウクライナ軍の小隊は近いうちに撤退するか投降するか、もしくは戦死すると予想している。 ロマノフによれば、ウクライナ軍部隊は沼地によって分断されており、「プレゼンスは局所化され、現在、掃討が進められている」という。「敵は3人ずつのグループに分かれ、民家に隠れている。これらの民家は取り壊されつつある」ともロマノフは記している。 新編の第141独立機械化旅団を中心とするカムヤンシケ北方のウクライナ軍部隊は、カムヤンシケでの占領地を長くは保てず、数十人の兵士を失うおそれが強い。 ベズフラはウクライナ軍の高官たちを非難している。「軍隊が崩壊し、腐敗しているのは、まさに上層部の管理と決断の質のせいなのだ」
David Axe