まさかの大勝利…斎藤元彦知事のパワハラ騒動は何だったのか「これから兵庫県で起こる」混迷極める事態
「どのツラ下げて立候補したんだ!」
異様な選挙戦という他なかった。 斎藤元彦前知事(47)の失職に伴う兵庫県知事の出直し選挙の投開票が、11月17日に行われた。 【画像】聴衆が殺到し、橋が歪んだ!?斎藤知事 警察も出動した演説の様子 FRIDAY記者は、その前日から斎藤氏に密着。西宮市で行われた街頭演説では、会場には入りきらなかった聴衆が向かい側の道路や商業施設と駅を繋ぐ渡り廊下まで埋め尽くした。会場にいた50代の主婦は興奮気味にこうまくしたてた。 「百条委員会や不信任決議の際、マスコミは斎藤さんを責め立てていましたよね。あれはイジメにしか見えませんでした。県の貯金を増やしたり、不妊治療への支援を手厚くしたりしてくれた斎藤さんに知事を続けてもらわないと困るんです」 制服姿の女子高生の姿もあった。「高2なので選挙権はないけど、斎藤さんの姿が見たくてきました」と言うと、女子高生はこう続けた。 「学校でも、斎藤さんのことが話題になります。意見は人それぞれですけど、私は斎藤さんは悪くないと思っています。マスコミは真実を報道しませんが、私たちにはSNSがある。職員の自殺は斎藤さんのせいではない。私に投票権があれば、斎藤さんに投票しています」 ……演説中の斎藤氏に「どのツラ下げて立候補したんだ!」と罵声を浴びせたり、「さいとう元彦の支持者逮捕されすぎ」と書かれたプラカードを持って歩くグループもいた。実際、選挙期間中に暴動が多発し、逮捕者が出ていた。 同日午後5時半頃、″グランドフィナーレ″とされた神戸市三宮での演説には約3000人が殺到。失職当初、誰にも見向きもされず、駅前でただお辞儀を繰り返すだけだった姿からは想像もつかない光景だった。斎藤氏は演説を終えると、割れんばかりの?斎藤コール?を背中に受けながらその場を去った。米大統領選の際のトランプ氏を見ているようだった。誰もが熱に浮かされていた。 ◆「次があるので……」 斎藤氏はこの熱狂をどう受け止めているのか? FRIDAY記者は演説を終えた斎藤氏にコメントを求めようと、西宮市と神戸市で声をかけたものの、無言のまま。演説の合間に神戸市内の神社で必勝祈願をする斎藤氏と遭遇した際にもコメントを求めたが、「次があるので……」と言い残し、小走りで選挙カーに乗り込んだ。 そして、まさかの大逆襲は成功した。在阪メディアの調査で、前尼崎市長の稲村和美氏(52)に12ポイント差をつけられ、落選が確実視されていた斎藤氏は前回の知事選から25万票以上上積みして111万票を獲得し、堂々と再選を果たした。 「失職して10日が過ぎたあたりから″亡くなった元県民局長の告発文は斎藤知事へのクーデターだった″とか、″斎藤さんはパワハラをしていない″といった言説がSNS上で急激に拡散した。猛烈な追い上げを受けて、斎藤氏の支援を禁止していた自民党県議団は最終的に支援を容認。議員らの支援先が割れたことも斎藤氏を利した」(在阪メディア記者) 巨大な県民の信を得て斎藤氏は19日付で兵庫県庁の知事席に帰ってきたが、疑惑が消えたわけではない。県職員の一人はFRIDAYに、「職員へのアンケートで斎藤のパワハラを直接、目撃した回答が出ているのに、それが無視されている。斎藤が態度を改めるのかわからないまま知事に戻ってくるのは不安ですよ」と漏らす。 百条委員会による調査は継続中で、議会では全会一致で不信任決議を突き付けた県議たちが斎藤氏を待ち受けている。 議会関係者が言う。 「県議会が再び不信任決議をするとは考えにくい。111万票はそれだけ重みがあります。斎藤知事は今後、百条委員会に出頭要請されますが、パワハラやおねだりを示す新たな証拠が出てくる可能性は現時点では低い。ただ、県議会は反斎藤派が過半数を占めている。知事は政策一つ通すことすら苦労することになる。議会の解散も可能ですが、粛清だと批判されるおそれがあるので、その″宝刀″は抜かないでしょう」 県議会も職員も不安を覚える斎藤氏の返り咲きによって、兵庫県政はさらに混迷を極めていくだろう。 『FRIDAY』2024年12月6日号より
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