80年代っぽい!? 新作ポータブルカセットプレーヤーFIIO「CP13」実機レビュー
令和の今、音楽リスニングでアツいアイテムと言えば…意外にもカセットテープ。 80~90年代までの日本の音楽リスニングの主役だった音楽用のカセットテープ。当時は自宅にラジカセがあるのが当たり前で、僕も中高生の頃にラジオを録音したカセットをポータブル・カセットプレイヤーで聴いていた記憶があります。 【製品の詳細画像を見る】 そんな音楽用のカセットですが、最近はレコード人気に続いてリバイバルの機運が高まっていて、アーティストの新譜もCD・レコード・カセットで同時リリースされていたりするんですよね。 新譜も出るようになった今、カセットを再生するためのプレイヤーも当然求められる訳で…、FIIOの新作ポータブルカセットプレーヤー「CP13」が2024年4月26日に発売されました。 FIIOは、ハイレゾ音源再生が可能なDAPなどを手掛けるポータブル・オーディオの定番ブランド。「CP13」は同社が新たに手掛ける“復刻シリーズ”の第一弾モデルにあたるとか。 ブルーの外見は80年代のポータブル・カセットプレイヤーを彷彿とさせるレトロ感。ただし、中身は現代版にアップデートされていて、USB-C端子による充電にも対応する今どきの設計。そして現代的な技術で高音質化も図られています。 そんなFIIOの新作ポータブルカセットプレーヤー「CP13」の実機をチェック。屋外で音楽リスニングしてみました。
■機能も80年代レトロなベーシック設計
まずは外見から。今回試したのは“Blue”ですが、この水色っぽいカラーリングに80年代のオリジナルWalkmanっぽさを感じてしまいます。本体の素材はアルミニウム合金製ダブルカラーで、オーディオとしての剛性は作り込まれています。 そして懐かしさ全開なのが、デジタル化されていないボタン操作。押し込むと“ガチャ”っと音がして押し込んだままになるところは、当時のカセットプレイヤーの操作感そのまま。テープって、再生したままちょっと早送りしたり巻き戻したりする、サーチが便利なんですよね。 ちなみに、4ボタンは再生・巻き戻し・早送り・停止の割り当て。「あれ、録音ボタンは?」と当時を知る人は言ってしまいそうですが、残念ながらFIIO「CP13」は再生専用機です。 音量操作はもちろんアナログボリュームポテンショメーターを搭載。指先で音量を微調整できるので、これは今でも使いやすいデザイン。 バッテリーは内蔵で最大13時間再生。音声出力は3.5mmのステレオミニ(イヤホンジャック)のみ。ワイヤレスイヤホンを接続可能なBluetooth対応も欲しいところですが、ポータブルカセットプレーヤーだし仕方ない(?)ですね。 ポータブルカセットプレーヤーとなると、毎回話題になるのが対応するテープの種類。 FIIO「CP13」のカセットテープ再生メカは中国製で、FIIOが独自の高音質化チューニングを行っています。超大型純銅製フライホイールに4.2V電源で駆動する高電圧モーター、高品位な磁気ヘッドを採用しています。 対応テープはType I(ノーマルテープ)のみと日本国内では案内しています。実のところType II(ハイポジテープ)やType IV(メタルテープ)もかけると音自体は出るのですが、対応イコライザがないため本来の音質にはなりません。また再生可能なテープは片側60分までのサポート(実際にはそれ以上もかかります)。 僕が今回持ち出したのは、昨年ORIONのラジカセをレビューした際に用意した中古テープ。当時ちょっと音源を録音しておいたのと、購入時からラジオらしき音源が録音済みだったんですよね。 FIIO「CP13」の音質については、カセットに録音済みの音源で確かめるしかありません。録音済みだったPet Shop Boysの『Go West』(1993年リリース)を聴きました。 一聴した感想は“テープの音”。品質も確かではない中古テープによる試聴なので、歌声は痩せてピッチが怪しくなっていたし、ヒスノイズはあるけど…懐かしPet Shop Boysのポップな歌声をカセットで聴けて思わずニンマリ。 同じ曲をスマホで再生すると、やはりデジタル音源の方が音質はいいのですが、FIIO「CP13」のハードウエア部分、純粋にイヤホンジャックの出力は、カセットにしてはS/Nの良さそうな音だなと感じました。これは現代のポータブルオーディオの基準のおかげでしょう。 FIIO「CP13」はポータブルなんだから外で音楽を聞かなくては! と電車に持ち出してみると、ポータブルになるとなおさら、手に持ってガチャガチャ操作して使うのが懐かしくて。 新作ポータブルカセットプレーヤーFIIO「CP13」、この所有感とレトロ感、そしてポータブルで見せつける目的で使うのもアリなんじゃないかなと思いました。
<取材・文/折原一也 撮影協力/エミライ>