渋幕、市川、栄東はどうなる?最終予想「首都圏中学入試2025」1月入試は開智と昭和学院のグループ校に勢い【男子受験生編1】
● 1月「埼玉入試」の全体傾向 夏休み前の四模試での志望者動向を反映した首都圏にある私立全校・全入試を分析した全11回の連載については、この記事の最後に各記事へのリンクを用意したので、そちらを参照していただきたい。これらはいずれも男女合算での数値が掲載されている。今回は男子受験生編の1回目として、埼玉・千葉・茨城の1月入試について予想する。 この「最終予想」では、四模試の志望者数合計が100人以上の入試回を主に取り上げる。入試日程ごと難度別のランク順に見ていく。ランク分けは四谷大塚の9月模試「合不合80」偏差値による。Aは65以上、Bは60以上、Cは55以上、Dは50以上、Eは45以上、Fは40以上、Gは40未満、Hは偏差値の設定なしである。便宜上、Aランクを難関校、Bランクを上位校、C・Dランクを中堅校、E・Fランクを中位校と呼ぶこともある。 受験生はランクの高い入試ほど多く集まる傾向がある。「基本的に志望者数合計100人以上」と先ほど書いたが、G・Hランクになると志望者数合計が10人を割る入試回も多い。100人未満の入試であっても、25年に注目しておきたいものにはできるだけ触れた。男子校はもとより、共学校についても原則として男子の受験者数と実倍率を記してある。 1月10日から始まる埼玉は、合格体験を得る「お試し受験」として、東京・神奈川・千葉からの受験生も集まってくる。必ずしも志望校でなくとも、模試感覚で受けることも多い。そうした傾向を学校側も心得ていて、実倍率を2倍以下に抑える傾向がうかがえる。合格者の合計人数が募集人員の10倍ということも珍しくはない。埼玉県内にいわゆる難関校はないが、難関レベルのコースとそれに合わせた入試はある。 24年埼玉入試最大の出来事は、開智所沢中等教育学校の開校だった。募集人員は240人だったが、延べの数値となるが、志願者数7913人、受験者数5371人、合格者は3614人と募集人員の15倍も出した。初年度の入学者数は390人で、募集人員の6割強増しという破格なものとなった。25年は募集人員を300人に増やす。1クラス30人編成のため、担任の数も多く必要となるが、その点は余裕をもって備えているようだ。 25年には開智(さいたま市岩槻区)と入試日程や入試問題をシンクロさせ、両校での合否も判定される。中堅校の横展開という、これまでの私立中高一貫校では見られなかった経営戦略のなせる業だ。最初に受験料2万円を支払えば、追加の受験料なしにグループ校の入試を何回でも受けることができるため、志願者数が膨らみがちになる点に注意したい。とりわけ開智と開智所沢に関しては、個別に志願者数や実倍率を見ることの意味が薄れてくる。この点をどう評価して判断するかにより、埼玉の受験地図の見え方は一変することになるだろう。 この“開智所沢旋風”は、周辺エリアの私立中学の募集に甚大な影響を与えている。特に川越市にある二つの男子校「城北埼玉」「城西川越」は、今後の在り方に思いをはせる時期に来ているのかもしれない。