福井の大雪報道、全国紙と地元紙の違い──ニュースは誰のためにあるのか
2月初め、五六豪雪(1981年)以来の記録的大雪に見舞われた福井県では国道8号で3日間にわたる車の立ち往生が発生し、全国紙のデジタルニュースやテレビで大きく報道されました。 一方、地元新聞社はそれらを伝える以外に、ふだんは取り上げないような雪捨て場情報などより細かな生活情報を広く住民にデジタル発信しています。全国ニュースと地元紙、この記録的大雪をどのような視点でとらえて伝えたのでしょうか。 37年ぶり大雪の福井地方、伝説となっている「五六豪雪」とは
福井の国道8号1500台立ち往生、全国ニュースに
2月5日朝、福井県内で同3日から降り始めた雪は福井市にどんどん積もり始めていましたが、全国的にはまだ大きく取り上げられていませんでした。 そのころ、地元の福井新聞社は、雪に慣れている福井県民は積もり方を見ながら、今後早めに行動すると予測。午前10時15分には、福井新聞ONLINEで今後の大雪に警戒を呼びかける気象情報を掲載します。 「これはただごとではない」 その後も、目に見えて増えていく積雪に、同社編集局デジタルラボ副部長D刊編集長、八杉智子さんはそう感じました。午後からは、新聞報道部門とは別に、公共交通機関の運休情報や積雪情報などのデジタル発信を随時続けました。 不安は的中しました。翌6日、福井市内では1日に50センチを超える激しい降雪となり、除雪が追いつかなくなっていきました。この日午前から、隣の坂井市、国道8号で動けない車が出てきます。午後からは立ち往生した車列の様子が全国的に報じられ始め、福井市の積雪は五六豪雪以来37年ぶりに130センチを超えました。 7日も、NHKニュースなど各社が国道8号1500台立ち往生、災害要請を受けた自衛隊の除雪作業の様子を中心に全国トップ級のニュースとして扱いました。福井新聞は発刊紙面のほか、有料電子新聞「D刊」を扱っていますが、今回の大雪に関する情報と県内の状況を広く伝えるため、2012年本格的にデジタル有料サービスをスタートしてから初めて、同日からD刊で紙面イメージ無料公開に踏み切りました(16日現在継続中)。