あなたの“ギモン”直撃リサーチ ローカル線がいま“延伸”のナゼ?【WBS】
攻めるローカル鉄道の秘策
一方、人口15万人の茨城・ひたちなか市。ここを走るのが「ひたちなか海浜鉄道」です。以前は廃線の話も出ていましたが2017年度に黒字化。しかし同鉄道の吉田千秋社長によれば「赤字で廃線直前だったのを黒字までもっていった状況だったが、コロナで観光客もいなくなって、また振り出しに戻った状況」といいます。 そこで、2021年3月に開業したのが「美乃浜学園駅」です。一体なぜ駅なのでしょうか。 「平磯と磯崎、阿宇ヶ浦という地区があるが、少子化で学校が小さくなって小学校が3つ、中学校が2つ統合した。学校前に駅まで作って鉄道で通ってもらおうと」(吉田社長) ひたちなか海浜鉄道は今や生徒たちの通学に欠かせない足に。この効果もあり、2022年度の利用者は過去最高の111万人にまで増えました。
ひたちなか海浜鉄道の終着駅となる阿字ヶ浦駅。社長の吉田さん、次なる一手は? 「ここから距離で約3.1キロ。今の計画だと『国営ひたち海浜公園』の西口、公園の正面まで延ばそうと」(吉田社長) ひたち海浜公園は、春はネモフィラ、秋はコキアなど、四季折々の植物が楽しめる人気スポットで年間およそ176万人が訪れます。今度は観光客を狙って公園の近くまで延伸する計画で、3月中に第1期の工事の認可を国に申請する予定です。 なぜ今、あえて攻めるのでしょうか。 「よくなぜと聞かれるが、普通に考えたら大きなターゲットがある。マーケットがある。十分採算が取れる。ローカル線というのは赤字で大変で税金をつぎ込んでみんなで守るんだという意識が強いので攻める発想がなかったのでは。ちゃんとお金をかけて整備したら生まれ変わる」(吉田社長) ローカル鉄道は守りだけでなく、攻めの姿勢で生き残りを図ります。 ※ワールドビジネスサテライト