あなたの“ギモン”直撃リサーチ ローカル線がいま“延伸”のナゼ?【WBS】
いま、全国で廃線になるローカル鉄道が増えています。この20年ほどで35路線、およそ1,026キロメートルが廃止されました。これを東海道・山陽新幹線に置き換えるとほぼ東京から新山口までの線路が消えた計算になります。そんな中、逆にいま路線を伸ばして勝負しようという元気なローカル線が増えています。そのナゼに迫ります。
路面電車がまちづくりを変える
栃木・宇都宮市に75年ぶりに誕生した路面電車「宇都宮ライトレール」。宇都宮駅の東口から街の中心部を通って、工業団地がある芳賀町まで14.6キロを繋ぎます。去年8月の開業から半年で、利用者は200万人以上。予想を2割上回っています。なぜ利用者を伸ばしたのでしょうか? 売りは快適性です。床は子供連れや高齢者に優しいフルフラット。席はボックスシートで、ゆったり座れます。専用の軌道を走るので、朝夕の渋滞も影響ありません。利用客は「できる前は出来てもあまり使う人は増えないと思っていたが、時間通り来るし便利」と話します。 さらに停留所に大きな秘密があります。 「普通の停留所よりも大きな駐車場、バスの停留所やタクシープール、駐輪場があったり乗り継ぎをしやすくしている施設」(宇都宮市LRT整備課の渡邉智行さん) バス停がライトレールの停留所に隣接。さらにマイカーで来ても乗り継ぎできるよう、無料の駐車場、駐輪場まで整備しています。こうした乗り換え施設を19停留所のうち5カ所に設置。利用しやすい環境を作っています。 このライトレール導入の旗振り役が、宇都宮市の佐藤栄一市長です。なぜ市を挙げて力を入れているのでしょうか。 「『ネットワーク型コンパクトシティ』という人口が減っても支えやすい、次の世代のための町を今の時代で作っておかないといけない」(佐藤市長) 少子高齢化に悩む宇都宮市。地域ごとに住まいや商業施設などの生活機能を集約させたコンパクトシティを作ろうとしています。 「誰もが自分の力で乗り換えすれば移動ができる町を作っていく」(佐藤市長) 宇都宮ライトレールは現在、宇都宮駅の東側を走っていますが、今後は西側にも延ばす計画です。ローカル線がまち作りそのものを変えようとしています。