「フリーランス新法」施行で“受注側の地位向上”どこまで現実的? 期待の一方…「格差拡大」の懸念も
新法はどこまでフリーの立場を守ってくれるのか
新法は、こうした行為に対し、厳しく対処する効力を持ち、フリーランスの地位向上に貢献する内容となっている。もっとも、即時の向上は難しいかもしれないが、長い目で見た場合、 どこまで実効性があるといえるのか。 「これまではフリーランス全般に関してこうした明確な基準はなかったわけですから、もしも発注側から不当な扱いを受けた際に、新法を盾に交渉のテーブルにつくという選択肢ができたことは大きな一歩といえると思います。 ただ、外注という観点でいえば、実質的な条件が内製の場合に近づけば近づくほど、企業側の選別の目がより厳しくなり、フリーランス間で格差が出る可能性もあるかもしれません」(辻本弁護士) ひと口にフリーランスと言っても、それぞれの意識や仕事レベルには差があるだろう。これが、新法によって受注量や報酬の差として顕著に表れてくる――。当然、そうした未来が予測される。 一方で辻本弁護士は、新法のきめ細かさを評価。 「新法では、発注側は、1人でも従業員がいて、業務委託期間が6か月以上となるときは、フリーランスに発注する際に7つの義務すべてを守る必要があります。資金的な余裕も十分とはいえないそうした小さな発注業者にも新法の影響がおよぶことは、総じてみれば、フリーランスにおける取引健全化に貢献すると思われます」 受発注の関係性において、弱い立場を支える法的枠組みはできた。だからこそ受注側はより意識を高め、スキルに見合った報酬を得られるよう自己研磨する。この点をはき違えなければ、フリーランスも新法の恩恵を享受することができそうだ。
弁護士JP編集部