ランボルギーニ「カウンタック5000S」が7700万円で落札! 内外装すべてホワイトにオーダーしたのはサウジアラビアの王族でした
シャシーバランスに優れたスーパースポーツになっていた
ランボルギーニの4カムV12エンジンはカウンタックにも受け継がれたものの、今回は縦置きに搭載。最適な重量配分を実現するため、デザイナーのパオロ・スタンツァーニは5速変速機をエンジンの前方、シートの間に配置し、サンプ内を通るシャフトで駆動するディファレンシャルを後方に配置した。その結果、シフト操作は横置きトランスミッションを複雑なリンケージで操作するミウラよりも格段に楽しくなり、シャシーバランスについても非常に優れたスーパースポーツとなった。 こうして1974年に生産が開始されたカウンタックは、改良されたスペースフレームシャシーと、プロトタイプの4971ccから標準の3929ccエンジンに変更されていた。そして最初のアップグレードは1978年に「LP400S」として具現化されることになる。 LP400Sにおける主要な変更点はシャシーとサスペンションだったが、外観でもリアのエアロフォイルが装備され、ほとんどの顧客がこれを選択したという。 しかし、ランボルギーニに限らず多くのスーパーカーにとって最大の市場であったはずのアメリカは、排ガス対策のためカウンタックには門戸を閉ざしていた。それでも1982年に、エミッションコントロールを意図して排気量を4754ccにアップした5000S(LP500S)が登場したことにより、ようやく北米マーケットにも正規導入されることになった。
第3世代のカウンタックは、約7700万円でハンマーを鳴らされる
2024年末のボナムズ「The Bond Street Sale Important Collectors' Motor Cars and Automobilia」に出品されたカウンタックは、シャシーナンバー「12681」。1982年から1985年に製造された5000Sの321台のうちの1台で、ファーストモデルのLP400以来、総計595台目に製造されたカウンタックとのことである。 1984年にサウジアラビアの王族が新車で購入したといわれるこの個体は、ファクトリーオプションのリアウイングを装備。内外装とも、オールホワイトのカラーリングで仕上げられている。 ランボルギーニの歴史家であるオリヴィエ・ナメッシュ氏のレポートによると、このカウンタック5000Sは、イタリア・ミラノで長年ランボルギーニを販売してきた「アキッリ(Achilli)」社に納車された。当時のアキッリ社は、ランボルギーニ本屋の正規代理店として「RoW(Rest of World:その他の地域)」マーケットを担当していたからである。 1987年にノルウェーに輸入されたこの5000Sは、著名なランボルギーニ・コレクターだったハラルド・スキョルト氏が所有していたものを、2005年に今回のオークション出品者でもある現在のオーナーが購入。その以降は高水準のメンテナンスが施され、暖房の効いたガレージで正しく保管されてきたという。 ちなみに現オーナーは御年71歳で、英国フォード・モーター社にて40年間にわたってチーフテクニシャンおよびワークショップマネージャーとして働いてきた人物とのこと。自動車のプロフェッショナルである彼の判断によって、キャブレターにはエアフィルターが取り付けられたいっぽう、エアコンの駆動ベルトは取り外されている。 また、添付されたドキュメントファイルには、表紙にカウンタック「5000S」と記された正規の取扱説明書と、ノルウェー時代の登録書類が含まれていたとのことである。 ボナムズ社は今回の出品にあたって「現代の基準から見ても、カウンタックは発売当時からその存在感を失っていない。このアイコニックなイタリアン・スーパーカーの、非常にオリジナル性が高く、清潔感のある1台を手に入れるエキサイティングな機会です」というPRフレーズとともに、37万5000ポンド~47万5000ポンド(邦貨換算約7425万円~約9405万円)という、ここ数年の国際マーケットにおけるLP500S/5000Sの実勢価格に準拠したと思しきエスティメート(推定落札価格)を設定していた。 そして2024年12月12日、ニュー・ボンドストリートのボナムズ・ショーケースで行われた競売ではエスティメートの範囲内に収まる39万1000ポンド、現在のレートで日本円に換算すれば約7700万円で、ぶじ落札されることになったのである。
武田公実(TAKEDA Hiromi)
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