告げられた「いらない」 半年でボーイズ退団→野球部からは入部拒否…広島名手の挫折
情熱あふれる恩師との出会い 文武両道を貫き推薦枠をゲット
遠征費用などの金銭面、送り迎えと親の負担も大きく「自分のモチベーションの高さと親に協力してもらっているのが、合っていないとずっと思っていて、モヤモヤしていたこともあった」と言い、半年もたたないうちにやめたそうだ。「なので鯖江ボーイズには僕の名前はないと思いますよ」。いきなりの挫折だったが、福井商入りの夢を諦めたわけではない。鯖江市立中央中の軟式野球部から出直そうと考えたという。 「でもね、中学では最初、入部を認めてくれなかったんです。駄目だって言われて……。小学校で全国ベスト8のメンバーで同級生は6人いたんですけど、エースとセカンドは(私立の)福井中学、キャッチャーと僕は鯖江ボーイズで、中央中学の野球部には2人しか入っていなかったんです。そんな中で僕がボーイズをやめて入りたいと言ったんですけど『途中で物事を投げ出すようなヤツはいらない』ってね」 愛情を秘めた厳しい言葉。それが中学時代の恩師・川上一規先生との出会いだった。「親もお願いして入れたんですけど、最初はあえて駄目と言われていたと思います。ボーイズより中学の野球部を下に見るんじゃなく、覚悟を持って入ってほしい。たぶん、そういうことだったんじゃないかなと……」。実際、気持ちも切り替えて、気合も入れ直して野球に取り組んだ。「川上先生はとても熱心な方で野球の本とか器具とかもどんどん取り入れてくれて……。先生に出会えたのはすごく大きかったですね」。 あのままボーイズにいたら、どうなっていたかは分からないが、中学1年途中から中学の軟式野球部に入った時期を「僕にとって、それは一つのターニングポイントだったと思います」と言う。野球だけでなく、勉強も頑張って、祖父の願いでもあった福井商への進学を中学からの推薦枠でつかんだ。「英語の塾とかも行きましたよ。福井商は誰でも行けるような高校ではなかったので、けっこう勉強もしました」と笑顔で話した。
山口真司 / Shinji Yamaguchi