所得税+住民税で最高55%も…日本居住者に課せられる重税「海外に183日住めば非居住者として免除される」は本当か?【弁護士が助言】
日本居住者が得る所得には、所得税と住民税で最高55%という高い税金がかかります。しかも、日本で得た所得に対して課税されるだけでなく、海外の株式から得た配当など、日本国外の所得に対しても課税されてしまいます。しかし、日本非居住になれば、この高い所得税から解放されます。どうすれば「日本非居住」になれるのか、見ていきましょう。※本記事は、OWL Investmentsのマネージング・ディレクターの小峰孝史弁護士が監修、OWL Investmentsが執筆・編集したものです。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
よく聞く「183日ルール」の真偽
海外移住にまつわる各種サポートやアドバイスを行っている筆者の元には、それらに関連する多くの質問が寄せられています。なかでもとくに多いものが「日本の〈非居住者〉になるためには、〈183日間〉海外にいれば大丈夫なのでしょうか?」という質問です。 これは、世間でいうところの「183日ルール」なのですが、この「183日ルール」は、そもそも間違いなのです。 国税庁のウェブサイトにも、「滞在日数のみによって判断するものでないことから、外国に1年の半分(183日)以上滞在している場合であっても、わが国の居住者となる場合があります。」と明記されています。
所得税法における「居住・非居住」の定義とは?
では所得税法上、どういう場合に「日本の非居住者」に該当するのでしょうか? 所得税法において、非居住者は「居住者以外の個人」と定義され、「居住者」とは、日本国内に「住所」があるか、または現在まで引き続いて1年以上「居所」がある個人をいいます。 「住所」については所得税法に定義されておらず、民法の定めを援用するのですが、住所とは「各人の生活の本拠」をいい、国内に生活の本拠があるかどうかについては、「住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断する」ことになっています。 また「居所」とは、「その人の生活の本拠という程度には至らないものの、その人が現実に居住している場所」とされています。 「住所」については、所得税法基本通達2-1に「人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは、客観的事実によって判定する」とあります。これまで、裁判所の判断は、おおむね、 (1)住居 (2)職業 (3)国内において生計を一にする配偶者その他親族を有するか否か (4)資産の所在等 の、4つの要素に基づく総合判定になっています。