野菜生産が酷暑で窮地、「水やってもお湯かけるよう」植えても枯れる苗多く…通年供給の仕組み途切れる危機
他の野菜でも、暑さで種まき時期を遅らせたり、秋に気温が下がらず生育が早くなり過ぎたりするなど、従来の日程で収穫できない野菜が増え、産地リレーを乱す要因になっている。
進む品種開発
種苗会社は、暑さに強い品種の開発を進めている。タキイ種苗(京都市)は約10年前から着手し、今年度発表の新品種16種のうち7種は高温耐性が売りだ。滋賀県湖南市の研究農場で11月19、20日に開いた見学会には、農家や農協関係者ら約900人が集まった。
金沢市でトマトを生産する男性(37)は「今年は暑さで品質が劣化し、収量は昨年より1、2割減った」といい、暑さに強い品種を中心に見て回った。
農家は強い日差しから作物を守るため、ビニールハウスに「 寒冷紗かんれいしゃ 」と呼ばれる布をかけたり、水やりの回数を増やしたりといった対策を取っている。
◆ 産地リレー= 夏は高原など涼しい場所、冬は温暖な平地で作るなど、時期によって産地を変えながら、年間を通じて特定の野菜を安定供給する仕組み。品種も時期に合わせたものに切り替えることが多い。
消費者も事情理解を…大阪公立大の横井修司教授(育種学)の話
「暑さに強い育種には限界があり、今後、夏に野菜を栽培できない地域が増えてくる可能性もある。消費者が生産者側の事情を理解し、『収穫できるものを食べる』という姿勢も必要だろう」