日本株から海外勢遠ざける円安、ドル建てリターン目減り-米株に劣後
(ブルームバーグ): 為替市場での円安進行で日本株のドル建てリターンが目減りしている。これは為替リスクをヘッジしない海外投資家にとって日本株を敬遠する要因になり得る。
東証株価指数(TOPIX)は2024年に最高値を更新、23日時点の年初来上昇率は15%。これをドル換算すると3%にとどまり、米S&P500種株価指数の25%や香港ハンセン指数(ドルベース)の17%を大きく下回る。
海外投資家の買いは7月の日本株最高値更新を後押ししてきた。しかし8月の急落以降は買いの手が引っ込み、年初から12月第2週までの現物株の買越額は1990億円にとどまる。23年の同期間は約3兆2700億円の買い越しだった。
日本株に投資していた海外投資家にとって「リターンは非常に失望的だった」と、アシンメトリック・アドバイザーズの日本株式ストラテジスト、アミール・アンバーザデ氏は指摘する。第3週には日本銀行の植田和男総裁のハト派的な発言で円安が進行、ドル建てリターンの目減り懸念から海外勢の買い見送りが続く可能性がある。投資の際は「為替ヘッジの割合を高めざるを得ない」と同氏は言う。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は、円安は為替ヘッジをしていない投資家にとって影響はあるとした上で、「トレンドを作るような大きな動きではない」とみる。市場改革や賃金上昇によるマクロ環境の改善を背景に企業の1株当たり純利益(EPS)が切り上がり、株価が上昇する傾向はドル建てでも不変だと説明した。
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Momoka Yokoyama, Winnie Hsu