アップルが年次報告書に書き加えた「3つのリスク」(海外)
アップルは、最新の年次報告書「Form 10-K」でリスクファクターの部分を更新した。 同社は、将来の製品の収益性や、「地政学的緊張」とAI機能に関連したリスクについて警告した。 企業が、ビジネスで起こり得る課題上のリスクファクターについて更新することはよくあることだ。 アップルの最新の年次報告書には、今後のビジネス上に可能性のあるリスクについて、同社がどのように見ているのか記載されている。 アメリカ証券取引委員会(SEC)が上場企業に開示を求めている年次報告書「Form 10-K」で、同社は先日、ビジネスにおけるリスクファクターを更新した。 2024年に新たに言及されたのは、将来の利益に関連した財務実績のリスクのほか、「地政学的緊張」とAI機能関連の安全性のリスクだ。 同社は、新製品がiPhoneなどの現在の主力製品の利益水準を再現できない可能性があると警告した。 「新製品、新サービス、新技術は、既存商品に代わる、あるいは超える可能性があるが、売上や利益率は下がる可能性がある」と、同社は記述した。 「つまり、当社の事業、経営、財務状況に重大な悪影響を及ぼす可能性がある」 また同社は、2023年の報告書では言及されていなかった、「地政学的緊張」とAI機能関連の安全リスクの影響について警告する言葉も記載した。 「AI機能などの新しく複雑な技術の導入は、利用者を有害、不正確、または否定的なコンテンツや体験にさらすなどの安全性のリスクを高める可能性がある」 「当社が提供するハードウェア、ソフトウェア、サービスで、これらすべての問題を見つけ出し解消できる保証はない」と、同社は付け加えた。 「そうできない場合、当社の製品やサービスに影響を及ぼす広範な技術的および性能上の問題が発生する可能性がある」 アップルは近年、スマートフォン競争が増すなか、新たな収益源を模索し、Vision Proなどの新しいカテゴリーで製品ラインアップを拡大してきた。 アップルの現在の収益源であるiPhoneは、2024年初めに売上が落ちたが、直近の四半期では再び成長にに転じた。同社は、2024年第4四半期にiPhoneの売上げが6%増加したと報告している。アップルはApple Intelligence機能がiPhoneなどのアップグレードを促進するものと期待している。 モーニングスターのアナリストであるウィリアム・カーウィン(William Kerwin)は、投資家がアップルのリスクファクターに関する言及について警戒する必要はないとBusiness Insiderに語った。「テック業界全体でよく似た文言を目にする。新製品に関連する混乱のリスクは、アップルにとってすでによくわかっているリスクだ」と、彼は述べた。 「このことが、経営陣が知っている何かか、あるいは市場には存在しない何かを、恐れていることを予兆するとは思わない」 フォレスターのアナリストであるディパンジャン・チャタジー(Dipanjan Chatterjee)は、新しく加えられた言及について、アップルにとって「かなり考慮されたものである」とBusiness Insiderに語った。17年前に発売されたiPhoneが「衰退期」に突入するなか、アップルは新しい長期的戦略を考える必要があるとチャタジーは述べた。 「アップルにとって大きな疑問は、iPhoneの次に何がくるかだ」と、彼は語った。 「次のパラダイムシフトは何か、そしてアップルがその動きの先頭に立ってるかどうかだ」
Jaures Yip,Jordan Hart